転職面接の「終わり方」マナー:最後の瞬間まで好印象を残す退室の作法
面接の「終わり方」が合否を左右する理由
転職活動の面接において、質疑応答が無事に終わったからといって、そこで選考が終了するわけではありません。面接の「終わり方」、つまり退室までの振る舞いは、応募者の最終的な評価を大きく左右する、非常に重要なポイントとなります。
最後の印象が選考結果に与える影響
心理学には、最後に与えられた情報が記憶に強く残るという、「親近効果」と呼ばれる現象があります。面接においても同様であり、どれほど質疑応答で素晴らしい受け答えができていたとしても、退室時のマナーが乱れていれば、そのマイナスの印象が、面接全体の評価を引き下げてしまう恐れがあります。逆に、最後まできちんとした礼儀作法を貫くことができれば、面接官に「しっかりとした人物である」という、決定的な好印象を残すことが可能になります。
気を抜いた瞬間の態度が見られている
質疑応答が終了すると、多くの応募者は安心感から、無意識のうちに気が緩んでしまいがちです。しかし、企業側は、そうした緊張が解けた瞬間の、素の態度や振る舞いこそ、応募者の真の人間性を表すものとして、厳しくチェックしています。最後まで気を抜かず、プロフェッショナルとしての緊張感を保ち続けることが、社会人としての常識や責任感を証明することに繋がります。
面接終了の合図から立ち上がるまでの流れ
面接官から、「本日の面接は以上です」と、終了の合図が出された直後の対応から、退室の作法はすでに始まっています。
終了の合図に対するお礼の言葉
面接終了の合図があったら、まずは椅子に座ったままの姿勢で、面接官の目をしっかりと見つめ、「本日は貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございました」と、感謝の気持ちを伝えます。言葉を言い終えてから、軽く頭を下げることで、より丁寧な印象を与えることができます。この際、ほっとした表情を露骨に浮かべたり、ため息をついたりするのは、失礼にあたるため厳禁です。
荷物をまとめる際の正しい所作
お礼を述べた後、面接官から「お忘れ物のないようお気をつけてお帰りください」などの言葉をかけられたら、「ありがとうございます」と応え、持参したカバンやコートなどの荷物を手に取ります。この時、慌ててバタバタと荷物をまとめるのではなく、落ち着いた動作で、スマートに持ち上げることを心がけましょう。もし、面接中に会社案内などの資料を受け取っていた場合は、丁寧にカバンにしまってから、立ち上がります。
椅子の横で行う挨拶とお辞儀のマナー
荷物を持ち、椅子から立ち上がった後の振る舞いも、面接官はしっかりと見守っています。
椅子の横に立つ位置と姿勢
立ち上がったら、自分が座っていた椅子の横(基本的には入室時に立った側と同じ位置)に、真っ直ぐに立ちます。もし、面接中に自分が動かしてしまったことで、椅子が元の位置からずれている場合は、立ち上がった際に、静かに元の位置に戻す配慮ができると、より好印象に繋がります。姿勢を正し、男性は両手を体の横に、女性は体の前で重ね、美しい立ち姿を作ります。
感謝を伝える「最敬礼」の角度とタイミング
椅子の横で姿勢を整えたら、再度面接官の方を向き、「本日はありがとうございました」と、はっきりとした声で挨拶をします。挨拶の言葉を言い終えてから、腰から約45度の角度で深く頭を下げる、「最敬礼」を行います。この時も、言葉と動作を分ける「語先後礼」を徹底することで、相手に対する深い敬意と、感謝の気持ちを表現することができます。
ドアの前での最後の挨拶と退室の作法
椅子の横での挨拶を終えたら、いよいよ面接室のドアへと向かいます。ここでの所作が、面接官に見せる最後の姿となります。
面接官の方を振り返り「失礼いたします」
ドアの前まで歩みを進めたら、そのまま外に出てしまうのではなく、必ず一度立ち止まり、面接官の方へと振り返ります。そして、面接官の目をしっかりと見て、「失礼いたします」と明るく挨拶をし、30度の「敬礼」、あるいは45度の「最敬礼」でお辞儀を行います。この最後のアイコンタクトと挨拶が、応募者の誠実さを決定づける、重要な要素となります。
ドアの開閉と静かな退室の心がけ
挨拶とお辞儀を終えたら、静かにドアを開けて退室します。ドアを閉める際は、面接官に完全に背中を向けてしまわないよう、体を少し斜めにした状態で、ドアノブをしっかりと持ち、大きな音を立てないように、静かに閉めるのが正しいマナーです。最後まで相手への配慮を忘れない丁寧な動作が、大人のビジネスパーソンとしての余裕を感じさせます。
面接室を出た後の注意点
面接室のドアを閉め、質疑応答という大きな山場を越えた後も、企業の建物を完全に出るまでは、選考の一部であるという意識を持ち続ける必要があります。
建物を出るまで気を抜かない
面接室を出た途端に、ネクタイを緩めたり、大きく伸びをしたりするような行為は、絶対に避けなければなりません。廊下ですれ違う社員の方々も、応募者の態度を見ており、その評価が人事担当者に伝わる可能性も十分に考えられます。すれ違う際には、軽く会釈をするなど、礼儀正しい振る舞いを継続することが大切です。
エレベーターや受付での振る舞い
エレベーターを利用する際や、受付の前を通る際も、気を引き締めて行動します。エレベーター内では、私語を慎み、スマートフォンを操作するのも我慢しましょう。冬場などの寒い時期であっても、コートなどの上着は、企業の建物の中にいる間は着用せず、エントランスを出て、企業から見えない場所まで離れてから、初めて着用するのが正しいルールです。最後の最後まで、社会人として恥ずかしくない態度を保つことが、転職面接を成功に導くための、最も確実な道となります。





