ユーザベースの経営企画を目指す転職対策と面接通過のポイント
「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスを掲げ、ビジネスインテリジェンス事業や経済メディア事業を展開する株式会社ユーザベース。
企業の戦略立案や市場分析を支える「Speeda」やソーシャル経済メディア「NewsPicks」をはじめ、スタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL」など、ビジネスパーソンの意思決定を後押しする多面的なサービスを成長させてきました。
非上場化(MBO)を経て、カーブアウトやM&A、新規事業のインキュベーションなど、グループ全体で大胆な事業ポートフォリオの再編を機動的に進める同社において、全社戦略の策定や資本配分、各事業の成長支援を担う「経営企画(Corporate Planning・事業管理)」は、極めて重要な役割を果たしています。
ユーザベースの経営企画を志望する転職者に向けて、求められる役割や選考での評価ポイント、面接選考を突破するための具体的なアプローチ法を解説します。
ユーザベースにおける経営企画の役割と事業環境
BtoBのSaaSプロダクトとBtoC/BtoBが融合したメディア・コミュニティ事業を併せ持つ同社において、経営企画が担う実務は多面的であり、高い事業推進力とスピード感が求められます。
1. SaaSビジネスとメディア事業の計数管理・KPI設計
主力事業である「Speeda」などのBtoB SaaSでは、ARR(年間経常収益)、NRR(売上継続率)、解約率(Churn Rate)、CAC(顧客獲得コスト)、LTV(顧客生涯価値)といったユニットエコノミクスの精緻なトラッキングが欠かせません。一方、「NewsPicks」などのメディア領域では、有料会員数、広告収益、ユーザーエンゲージメントといった異なる指標を扱います。異なるビジネスモデルの特性を見極めながら、各事業部門へのリソース配分や中長期の事業計画を策定するバランス感覚が求められます。
2. 「攻めのコーポレートアクション」とポートフォリオ再編の推進
同社は、持続的な成長を実現するために、周辺領域のM&A、事業提携、海外展開、さらには事業の選択と集中といったコーポレートアクションを積極的に推進しています。経営企画は、案件のソーシング支援から投資採算性の検証、買収後の経営統合(PMI)、グループ会社管理に至るまで、経営陣直下でプロジェクトを統括します。
3. データドリブンな意思決定インフラと業務プロセスの標準化
各事業に散在する予実データやKPIを統合し、経営陣や事業責任者がタイムリーに判断を下せる経営ダッシュボードの構築や、業務フローの標準化を推進します。単なる過去の数値集計にとどまらず、先行指標に基づいたシミュレーションを行い、先回りして打ち手を提言するFP&A(ファイナンシャルプランニング&アナリシス)機能の高度化を担います。
選考で見極められる中核的なスキルと人物像
ユーザベースの中途採用選考において、書類選考や面接官(役員・経営企画責任者)が厳しく確認する評価基準は以下の通りです。
財務・管理会計の知見とSaaSビジネスへの解像度
財務三表(P/L、B/S、C/F)の連動性を理解していることは前提として、サブスクリプション型ビジネス特有の収益構造や投資回収のロジックを数字ベースで論理的に説明できる計数感覚が問われます。データから事業の課題を瞬時に見抜き、客観的なファクトに基づいて経営判断を後押しする思考力が重視されます。
「The 7 Values」への深い共感と実践力
同社には、組織の共通言語として「The 7 Values」と呼ばれる行動指針が深く根づいています。
- 自由主義で行こう(Be free & own it.):自由を享受する前提として、高い責任感を持ち、自律して自走できるか。
- 創造性がなければ意味がない(Unleash ingenuity.):前例踏襲を排し、ユーザーや事業にとって本質的な付加価値を生み出せるか。
- スピードで驚かす(How fast? Wow fast.):意思決定や課題解決において、常に最速のPDCAを回せるか。
- 迷ったら挑戦する道を選ぶ(Don’t know? Choose brave.):不確実な状況下でも失敗を恐れず、果敢にチャレンジできるか。
- 渦中の友を助ける(In it together. No matter what.) / 異能は才能(We need what you bring.):多様な強みを持つ仲間を尊重し、困難な局面で自ら手を差し伸べられるか。
面接では、過去の実績や行動エピソードを通じて、これらの価値観を日常的に体現してきた人物であるかが厳密に見極められます。
評論家にならない「当事者意識(ラストマンシップ)」
経営企画という立場であっても、「きれいな分析資料を作って終わり」というスタンスは通用しません。自ら現場へ足を運び、関係者を巻き込みながら、泥臭い業務改善や合意形成をやり切る強いオーナーシップが求められます。
面接選考を突破するための実践的なアピール法
面接の場において、自身のこれまでの実績を同社の求める人物像に結びつけ、説得力を持って伝えるためのアプローチです。
「数字の分析から現場を巻き込み、施策を完遂した実績」を具体化する
面接では、「単にレポートや分析資料を作成した」という報告にとどまらず、関係者を巻き込んで実行までやり切ったプロセスが深掘りされます。
- 課題の特定:どのような計数データや市場環境の分析から、事業の構造的な課題を発見したか
- 対話と合意形成:異なる立場や考え方を持つ開発部門や営業現場とどのように対話を重ね、共通の目標を見出したか
- 定量的成果:施策を実行した結果、収益改善、解約率の低減、業務工数の削減といったどのような事業インパクトを残したか
この一連の流れを構造的に語ることで、自律的に動ける実務推進者であることを証明できます。
「なぜユーザベースなのか」を自らの原体験と結びつける
競合となる他社SaaS企業やITメガベンチャーとの比較において、志望動機の解像度が合否を分けます。
- 「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスに対し、自身のこれまでのビジネス経験や課題意識がどう共鳴しているかを具体的に語る
- 「Speeda」や「NewsPicks」といった自社プロダクトを日頃から研究・活用した上で、ユーザー視点と経営視点の双方からその可能性と改善点を捉えておく
- 事業の多角化や再編を進める現在の事業フェーズにおいて、自身の専門性(管理会計、事業投資評価、プロセス改革、DX推進など)がどう貢献できるかを客観的なビジネスの言葉で伝える
単なるファン目線やカルチャーへの憧れを脱し、事業を共に伸ばすビジネスパートナーとしての覚悟を示すことが肝要です。
逆質問を通じて経営視座の高さと企業研究の深さを示す
面接の終盤に設けられる逆質問では、公開情報や各事業の展開方針を事前に精読した上で、本質的な問いを用意しておくことが効果的です。
「中核であるBtoB SaaS事業の強固な収益基盤を維持しながら、新規プロダクトやM&Aを通じた非連続な成長領域へ投資を進めるにあたり、経営企画として現在どのようなリソース配分やKPI設計の議論を最も重視されていますでしょうか」
「『自由主義で行こう』に象徴される自律的な組織カルチャーを大切にされている中で、グループ全体のガバナンスと各事業部門の意思決定スピードを両立させるために、経営企画部門としてどのような情報連携や合意形成の工夫をされているか教えていただけますでしょうか」
事業運営の核心に迫る質問を用意しておくことで、経営陣のディスカッションパートナーとしての資質を強く印象づけることができます。



