ライオンの経営企画を目指す転職対策と面接通過のポイント
「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパスに掲げ、ハミガキ・ハブラシをはじめとするオーラルケア分野で国内トップクラスのシェアを誇るライオン株式会社。
「システマ」「クリニカ」「NONIO」「キレイキレイ」「バファリン」「トップ」など、生活者の毎日に根ざした数々の代表的ブランドを展開しています。国内の強固な事業基盤に加え、タイや中国をはじめとするアジア各国への海外展開、さらには口腔ケアを通じた全身の健康増進など、ヘルスケア領域における高付加価値化を推進しています。
原材料価格や物流費の変動、国内市場の成熟化、EC化の進展といった環境変化が進む中、同社は中長期経営戦略フレームワーク「Vision2030」のもと、アジアでの成長加速や事業ポートフォリオの変革、デジタル技術を活用した業務改革を加速させています。
生活者の習慣を変革する事業戦略を立案し、全社的な資源配分や収益管理を牽引する「経営企画」のポジションは、経営陣の参謀として極めて重要な責務を担います。
ライオンの経営企画を志望する転職者に向けて、求められる役割や選考での評価ポイント、面接選考を突破するための具体的なアプローチ法を解説します。
ライオンにおける経営企画の役割と事業環境
一般消費財(日用品・OTC医薬品)から産業用化学品まで幅広いポートフォリオを持ち、国内外に製造・販売拠点を展開する同社において、経営企画部門が担う実務は多面的であり、製造業としての緻密な計数感覚と中長期の視座が求められます。
1. 「Vision2030」に向けた事業ポートフォリオ管理とキャピタルアロケーション
同社は、中長期の成長シナリオとして「オーラルヘルスケアの進化」と「インフェクションコントロール(衛生習慣)」、そして「アジア展開の加速」を掲げています。経営企画には、各事業セグメントの収益性や投下資本利益率(ROIC)を客観的に評価し、限られた経営資源(研究開発費、設備投資、マーケティング費用)をどこへ優先的に配分すべきかを判断するポートフォリオマネジメントが求められます。
2. グローバル連結経営管理とリスクマネジメントの高度化
タイ、中国、韓国など、成長を牽引するアジア各国の現地法人や連結子会社を束ね、為替変動や原材料価格の高騰を織り込んだ予実管理を推進します。経営陣が不確実な環境下でも迅速な意思決定を下せるよう、シナリオ分析を行い、全社的なリスクテイクの規律を維持する役割を果たします。
3. 全社DX・サプライチェーン改革の推進と合意形成
生活習慣データやサプライチェーン情報を連携させたDX施策、工場の自動化、ECチャネルの拡大など、事業の枠組みを超えた重要プロジェクトを主導します。研究、生産、営業、マーケティングなど、多様な関係部署をつなぐハブとして、経営陣の意図を現場のアクションプランへと落とし込みます。
選考で見極められる中核的なスキルと人物像
ライオンの中途採用選考において、書類選考や面接官(役員・経営企画責任者)が厳しく確認する評価基準は以下の通りです。
財務・管理会計の実務力と日用品ビジネスの計数感覚
消費財メーカー特有の原価構造(原材料費、製造歩留まり、物流コスト、リテール向け販促費等)を把握し、財務諸表に結びつけて分析できるスキルは必須となります。単にデータを集計するだけでなく、P/LやB/Sの数値を客観的なファクトとして読み解き、事業のボトルネックを特定して論理的に改善策を提示できる計数分析力が問われます。
「愛と進取の精神」に根ざした泥臭い合意形成力
同社には、創業以来の理念である「愛の精神の実践」や「進取の気風」に象徴される、誠実で人を重んじる企業風土があります。経営企画が机上のフレームワークや上流からの管理論を一方的に押し通す姿勢は厳しく敬遠されます。研究所、工場、営業部門など、現場のプロフェッショナルが持つこだわりや課題に敬意を払い、丁寧な対話と根回しを重ねて全体最適の結論へと導く対人折衝力(ヒューマンスキル)が極めて重視されます。
評論家にならず「習慣を変革する」当事者意識
歴史ある大手消費財メーカーであるからこそ、前例踏襲や指示待ちのスタンスは通用しません。市場環境の変化や生活者の新しいインサイトを捉え、自ら課題を発見して前例のない変革をやり切る強いオーナーシップ(ラストマンシップ)が求められます。
面接選考を突破するための実践的なアピール法
面接の場において、自身のこれまでの実績を同社の求める人物像に結びつけ、説得力を持って伝えるためのアプローチです。
「数字の分析から現場を巻き込み、施策を完遂した実績」を具体化する
面接では、「単にレポートや分析資料を作成した」という報告にとどまらず、関係者を巻き込んで実行までやり切ったプロセスが深掘りされます。
- 課題の特定:どのような計数データや市場環境の分析から、事業の構造的な課題を発見したか
- 対話と合意形成:異なる立場や考え方を持つ現場部門とどのように対話を重ね、共通の目標を見出したか
- 定量的成果:施策を実行した結果、収益改善、業務プロセスの刷新、コスト削減といったどのような事業インパクトを残したか
このプロセスを構造的に語ることで、「机上の理論にとどまらず、自ら組織を動かせる実務推進者」であることを証明できます。
「なぜ日用品・ヘルスケア産業なのか」「なぜライオンなのか」に明確な論理を持たせる
競合となる花王、ユニ・チャーム、小林製薬などの大手消費財メーカーとの比較において、志望動機の解像度が合否を分けます。
- 単なる「モノ売り」ではなく、「健康的な生活習慣そのものを創り出す」という同社のパーパスに、自身のキャリア観がどう共鳴しているかを語る
- アジアでの成長加速やオーラルヘルス領域の高度化を進める現在の事業フェーズに対し、自身の専門性(管理会計、事業計画策定、プロセス改革、DX推進など)がどう貢献できるかを客観的なビジネスの言葉で伝える
単なる消費者目線のファン心理を脱し、事業を共に伸ばすビジネスパートナーとしての覚悟を示すことが肝要です。
逆質問を通じて経営視座の高さと企業研究の深さを示す
面接の終盤に設けられる逆質問では、統合報告書や決算説明資料、中期経営計画を事前に精読した上で、本質的な問いを用意しておくことが効果的です。
- 「中長期戦略においてオーラルヘルスケアの高付加価値化とアジア展開の加速を掲げられていますが、経営企画として現在どのようなリソース配分やポートフォリオ議論を最も重視されていますでしょうか」
- 「誠実で人を思いやる組織文化を大切にされている中で、グループ連結でのガバナンス強化や全社目線でのスピード感を両立させるために、経営企画部門としてどのような情報連携や合意形成の工夫をされているか教えていただけますでしょうか」
事業運営の核心に迫る質問を用意しておくことで、経営陣のディスカッションパートナーとしての資質を強く印象づけることができます。



