営業から事務への転職は難しい?未経験から成功させるポイントや志望動機・年収相場を徹底解説
営業職として日々ノルマや数字のプレッシャーと向き合う中で、「もっと腰を据えて、デスクワークで組織を支える仕事がしたい」「ワークライフバランスを整えたい」と考え、事務職への転職を目指す方は多く存在します。
しかし、中途採用市場において、事務職は求人倍率が非常に高く、経験者が優先されやすい人気職種のひとつです。そのため、「営業の経験しかなくても採用されるのか」「年収は大幅に下がってしまうのか」「面接で営業を辞めたい理由をどう伝えればよいのか」といった不安や疑問を抱くケースは珍しくありません。
営業職から事務職へのキャリアチェンジは、伝え方と狙うポジションを工夫すれば、営業経験ならではの強みを武器にして十分に突破可能です。本記事では、営業から事務への転職難易度や年収相場の実態から、相性の良い事務職の種類、採用担当者を納得させる志望動機・自己PRの作成法まで詳しく解説します。
営業から事務への転職難易度と市場の実態
営業職から未経験で事務職を目指す場合、あらかじめ転職市場における需給バランスを把握しておくことが重要です。
事務職の有効求人倍率は低く、買い手市場が続いている
公的な統計において、営業職の有効求人倍率が常に1倍を超えて人手不足傾向にあるのに対し、一般事務職などの事務系職種は0.3〜0.5倍前後で推移しています。これは、1つの事務求人に対して複数人の応募者が集まる状態を意味しており、未経験からの応募では書類選考の段階で厳しく絞り込まれる傾向があります。
「営業からの転職」が面接官に懸念されやすい点
企業の採用担当者が営業出身者を採用する際、主に以下の点を懸念します。
- 「単に営業のプレッシャーやノルマから逃げたいだけではないか」
ネガティブな転職理由から応募してきた場合、定常業務への不満やルーティンワークへの飽きによって、早期離職してしまうのではないかと警戒されます。 - 「デスクワークや細かな作業の継続に耐えられるか」
外出や対人コミュニケーションが中心だった働き方から、一日中PC画面に向かって数字や書類を精査する環境へのギャップに適応できるかがチェックされます。 - 「PCスキルや事務処理の実務レベルが不足していないか」
営業活動で最低限のメールや資料作成を行っていても、Excelでの集計や専用システムへのデータ入力など、事務職として必要な実務スキルを満たしているかが問われます。
営業から事務へ転職すると給与・年収はどうなる?
職種を変えるにあたり、最も現実的な懸念事項となるのが「年収の変動」です。
平均年収は50万〜100万円程度下がるケースが一般的
一般的に、中途採用市場における事務職の平均年収は300万〜380万円前後が相場です。
営業職でインセンティブ(歩合給)を多く得ていた方や、多額の時間外手当(残業代)を受け取っていた方の場合、基本給主体の事務職へ移ることで、年間50万〜100万円前後の年収減が生じるケースは珍しくありません。
ただし、前職の営業職において残業代が固定給に含まれていたり、基本給そのものが低く抑えられていたりした場合は、賞与実績や各種手当が整った企業の事務職へ入社することで、年収が維持、あるいは微増となる事例もあります。
営業経験を活かしやすい事務職の種類
事務職と一口に言っても、担うミッションや求められる専門性によって業務内容は大きく異なります。営業経験を最も活かしやすいポジションを選ぶことが、選考通過率を高める鍵となります。
| 事務職のタイプ | 主な業務内容 | 営業経験を活かせるポイント | 未経験からの挑戦難易度 |
| 営業事務 (営業アシスタント) | 受発注管理、見積書作成、納期調整、顧客からの問い合わせ対応 | 営業担当者の動きや顧客の心理を熟知しているため、先回りのサポートができる | 低〜中(最も転職しやすい) |
| 一般事務 | データ入力、書類作成、ファイリング、電話・来客対応、備品管理 | 社内外の関係者とスムーズにやり取りできるビジネスマナーや対人能力 | 中〜高(応募倍率が非常に高い) |
| 経理事務 | 伝票起票、経費精算、売掛金・買掛金管理、月次決算補助 | 営業活動で培った数字に対する感覚や、コスト意識 | 中程度(簿記等の知識があれば有利) |
| 総務・労務事務 | 勤怠管理、福利厚生の手続き、就業規則の管理、社内環境整備 | 複数の部署との調整力、スケジュール管理、トラブル対応の柔軟性 | 中程度(社内調整の経験が活きる) |
特に営業事務は、「営業の現場が今何を求めているか」を肌感覚で理解できる点が最大の強みとなるため、未経験から事務職を目指す上で最も内定を獲得しやすい領域といえます。
営業出身者が事務職の選考でアピールできる「4つの強み」
事務経験そのものがなくても、営業職として日常的にこなしてきた業務の中には、事務職で高く評価されるポータブルスキルが数多く含まれています。
1. 相手の意図を汲み取る「コミュニケーション能力・顧客対応力」
事務職は一日中黙々と作業するだけではなく、社外からの問い合わせ対応や、他部署との業務調整を頻繁に行います。営業経験者ならではの「丁寧なビジネスマナー」「物腰の柔らかい電話対応」「相手の要望を正確に引き出すヒアリング力」は、社内調整を円滑に進める上で大きな武器になります。
2. 営業担当者の動きを先回りする「サポート力」
「商談の前にこの資料が必要になる」「このタイミングで在庫を確認しておかなければ納期に間に合わない」といった、営業現場のスケジュール感や懸念点を先回りして把握できる能力は、営業経験者だからこそ発揮できる価値です。
3. 突発的な事態に対応する「マルチタスク・柔軟性」
見積書を作成している最中に顧客から急ぎの電話が入り、同時に物流の手配をしなければならないなど、事務の現場では突発的な優先順位の変更が頻繁に発生します。日頃から複数の案件を並行して管理し、臨機応変に対応してきた営業職の段取り力は高く評価されます。
4. 契約書や見積書を扱ってきた「実務的な書類作成経験」
営業活動の中で、見積書の作成、契約書の文面確認、発注書の処理などを行ってきた経験は、立派な事務処理の実績です。専用システムへの入力や、基本的なWord・Excelの操作に抵抗がないことを具体的に証明できます。
面接官を納得させる「転職理由・志望動機」の組み立て方
営業から事務への転職選考において、面接官が最も注目するのは「なぜ営業ではなく事務なのか」という理由の論理的な一貫性です。
ネガティブな本音をポジティブな動機に変換する
「ノルマがきつい」「残業を減らしたい」という本音をそのまま伝えると、仕事への耐性が低いと見なされます。前向きな目標や、やりがいの所在に焦点を当てて言い換えます。
- 本音: ノルマに追われるのが嫌になった
→ 面接用: 「数字を追う個人プレーよりも、組織全体の業務フローを整え、仕組みから仲間を支える業務に適性を感じた」 - 本音:残業が多すぎてワークライフバランスが崩れた
→ 面接用: 「限られた時間の中で計画的に業務を進め、確実でミスのない処理を行うことで組織の生産性向上に貢献したい」
志望動機に盛り込むべき3つの要素
- 営業業務の中で「サポートや仕組み化」にやりがいを感じた原体験
- 営業経験があるからこそ提供できる独自の価値(先回り、調整力)
- 不足しているPCスキル等を自発的に補っている姿勢(資格学習など)
選考面接で使える実践的な回答例文
面接で頻出する質問に対する、具体的で好印象を与える回答例を整理します。
志望動機を聞かれた場合の回答例(営業から営業事務を目指す場合)
「前職では法人向けルート営業として〇年間勤務し、クライアントへの提案や売上目標の達成に注力してまいりました。
その中で、自らの商談活動と並行して、チーム全員が使いやすい見積もりフォーマットの作成や、納期遅延を防ぐための受発注チェックシートの導入などを行った際、業務フローを整えて組織全体の生産性を支える役割に非常に大きなやりがいを実感いたしました。
貴社の営業事務は、単なるデータ入力にとどまらず、多忙な営業担当者の動きを先回りして支えるパートナーとしての役割が求められていると伺っております。
営業の現場心理や商談の進め方を理解している強みと、自主的に習得を進めているExcelのスキル(関数や集計作業)を活かし、チームの売上最大化に貢献したいと考え、志望いたしました。」
「なぜ営業を辞めて事務職に就きたいのですか?」と聞かれた場合の回答例
「営業活動を通じて、顧客の課題を解決することや人と信頼関係を築くことには非常に大きな学びがございました。
しかしながら、日々の実務を振り返った際、最も手応えを感じていたのは、提案書や契約書類をミスなく正確に仕上げることや、社内の関係各所と綿密に連携して納期トラブルを未然に防ぐといった『段取りや管理の業務』でございました。
自身の強みである几帳面さや計画性を最大限に発揮し、プレイヤーとしてではなく、バックオフィスから組織の円滑な運営を長期的に支える専門性を身につけたいと考え、事務職へのキャリアチェンジを決断いたしました。」
未経験からの事務職転職を成功させるための準備
選考通過率を少しでも引き上げるために、応募前に進めておくべき具体的な対策を整理します。
- PCスキルの客観的な証明を用意しておく
「WordやExcelが使えます」と口頭で伝えるだけでは不十分です。MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)資格の取得や、実務で作成した書類の具体例(関数の活用事例、集計の実績など)を用意しておくことで、未経験の不安を払拭できます。 - 業界知識が活かせる分野を狙う
前職と同じ業界(例:IT業界の営業からIT企業の事務、建材営業から建築会社の事務など)であれば、業界特有の専門用語や商習慣を理解しているため、即戦力として評価されやすくなります。 - 求人の絞り込みすぎに注意する
一般事務だけに限定すると倍率の高さから選考が長期化しやすくなります。営業事務、受発注管理、総務事務など、自身の経験と親和性のある職種へ視野を広げて応募を進めることが大切です。



