第一生命の経営企画で選考を通過するための面接対策ガイド
第一生命における経営企画の役割と求める人物像
第一生命ホールディングス株式会社は、国内生命保険事業を基盤としながら、北米、アジア・パシフィックなどの海外保険事業、さらには資産形成・承継、ヘルスケア領域など、従来の生命保険の枠組みを超えた事業多角化を推進するグローバル保険グループです。少子高齢化や金利環境の変動、顧客ニーズの多様化といった構造変化に直面する中、同社は従来の「保障」を提供する会社から、顧客の「QOL(生活の質)向上」を支えるパートナーへの変革を進めています。
同社における経営企画は、単なる全社予算の集計や定例的な業績管理にとどまりません。グループ全体の中期経営計画の策定、国内・海外の事業ポートフォリオ管理、資本政策および配当政策の立案、海外保険会社や資産運用会社を対象としたM&AおよびPMI(経営統合)、非保険領域(ヘルスケアやテクノロジー)への新規投資など、巨大組織の未来を方向付ける役割を担っています。
面接選考において面接官が注目しているのは、主に以下の観点です。
金融・保険ビジネスと資本管理への構造的理解
生命保険業は、長期にわたる保険契約を預かり、負債特性に応じた資産運用を行う負債主導型(ALM:資産負債総合管理)のビジネスモデルです。また、国際的な経済価値ベースの自己資本規制など、特有の自己資本比率やソルベンシー規制、リスク管理の枠組みが存在します。こうした金融ビジネスの前提を理解した上で、資本効率(ROEやROIC)の向上と健全性の確保をどのように両立させるか、論理的に思考できるかが問われます。
多様な事業体と多様な人材を束ねる合意形成力
第一生命グループは、国内の伝統的な営業職員チャネルを持つ第一生命保険をはじめ、来店型ショップや金融機関代理店を活用する第一フロンティア生命、ネット専業のネオファースト生命、そして海外現地の事業会社など、多様な事業会社を傘下に持っています。異なるカルチャーや利害関係を持つ組織の間に入り、全社最適な判断へと導くコミュニケーション能力や、粘り強く合意を形成する人間性が重視されます。
変革を推進する当事者意識と柔軟性
伝統ある大手金融機関でありながら、第一生命は業界内でもいち早く株式会社化(相互会社からの転換)を果たし、積極的な海外展開やCX(顧客体験)改革、DX投資を行ってきた先進性を持っています。前例踏襲の管理業務にとどまらず、市場環境の変化に応じて自ら課題を発見し、新たな仕組みや戦略を提案・実行できる自走力が評価されます。
第一生命経営企画の面接で頻出する質問と回答の方向性
選考を通過するためには、同社の事業環境や戦略を踏まえた質問の意図を把握し、自身の経験と結びつけて準備しておく必要があります。
1. 「なぜ他の金融機関や大手企業ではなく、第一生命の経営企画なのか」
経営企画としての汎用的なスキルを、なぜ第一生命というプラットフォームで発揮したいのかという動機の必然性が厳しく問われます。
- 回答のポイント: 単に「大手だから」「安定しているから」といった理由や、「人を大切にする社風に共感した」という表面的な感想は避けます。「相互会社から株式会社へ転換し、グローバル展開や事業領域の拡張をスピード感を持って進めている変革姿勢に魅力を感じている」「超高齢社会において、保障にとどまらず資産形成や健康寿命の延伸を包括的に支える事業戦略の立案に、自身の計数管理や戦略推進のスキルを役立てたい」など、ビジネスパーソンとしての視点から同社を選ぶ理由を具体的に伝えます。
2. 「自社の中期経営計画や財務状況についてどう考えているか」
統合報告書、決算説明会資料、中期経営計画を読み込み、会社の強みと課題を客観的に捉えられているかを確認する質問です。
- 回答のポイント: 国内生命保険市場の成熟化を踏まえ、グループが注力している「4つの体験価値(保障・資産形成・健康増進・つながり)」や、海外事業の利益貢献度の推移、資本配分方針(株主還元と成長投資のバランス)を把握しておきます。「金利変動や規制強化といったマクロ環境の変化に対し、経営企画としてどのようにモニタリング指標を設計し、各事業会社のリソース配分を最適化すべきか」といった、実務を想定した考察を交えると高い評価につながります。
3. 「現場の事業会社や他部門と意見が対立した場合、どのように合意形成を図るか」
持株会社(ホールディングス)と事業会社、あるいは本社と現場の間に生じる視点の乖離をどう埋めるか、対人調整力を測る質問です。
- 回答のポイント: 「本社の決定事項だから従ってもらう」という上意下達の姿勢は敬遠されます。まずは事業会社や現場が直面している課題(現場オペレーションの負荷、顧客対応の実態、短期的な収益責任など)を真摯に傾聴する姿勢を示します。その上で、グループ全体の長期的な利益や客観的なデータを提示し、段階的な導入や現場の負担を軽減する代替案を提示して双方が納得できる合意点を見出した過去の実務エピソードを添えて回答します。
4. 「不確実性が高い環境下で、どのように戦略の精度を高めるか」
経済環境の激変や規制改正など、予測困難な事象に対応できるかを測る質問です。
- 回答のポイント: 完璧な前提条件が揃うのを待つのではなく、手元にあるデータから複数のシナリオ(ベース、アップサイド、ダウンサイド)を想定し、それぞれに対するリスクヘッジ策を用意して意思決定を支えた経験を語ります。定量的な根拠と定性的な事業理解を組み合わせて、不確実性に対処する柔軟性を示すことが重要です。
経歴別の強みと面接でのアピール方法
これまでのバックグラウンドに応じて、面接官が期待する領域や懸念しやすいポイントが異なります。
銀行・証券・他社保険など金融業界出身者
金融商品の特性、自己資本規制、ALMの概念、金融機関特有のガバナンス体制を理解している点は即戦力として高く評価されます。
- 伝えるべき強み: 財務諸表の分析力、リスク管理とリターンのバランス感覚、規制対応や機関決定プロセスの理解。
- 面接での意識: 既存の金融業務の枠組みにとらわれず、非保険領域(ヘルスケアやデジタル分野)への多角化や新規ビジネスの創出に対して、前向きかつ柔軟に取り組む姿勢を強調します。
戦略・財務系コンサルティングファーム出身者
論理的思考力、市場・競合分析力、全社プロジェクトの推進力、財務モデリング能力は大きな武器になります。
- 伝えるべき強み: 中長期計画の策定経験、新規事業参入に向けたフィージビリティスタディ、M&A戦略の立案実績。
- 面接での意識: 「提言や分析だけで終わるのではないか」「現場の泥臭い調整を嫌がるのではないか」という懸念を払拭するため、クライアントや関係部門の感情に配慮し、巻き込みながら施策を実行に移した泥臭いエピソードを語ることが重要です。
金融以外の事業会社経営企画出身者
他業界で培った事業計画策定や予実管理の仕組み化、事業開発の経験は、グループの多角化を進める上で差別化された強みとなります。
- 伝えるべき強み: 現場目線でのKPIマネジメント、アライアンスや新規事業の推進力、業務改革(BPR)の実績。
- 面接での意識: 金融・保険業界特有の用語や規制、ビジネス構造について自発的にキャッチアップする意欲と学習能力の高さを示し、専門性のギャップを埋める努力を伝えます。
面接本番に向けた実践的な事前準備
第一生命の経営企画面接を通過するためには、公開情報の徹底的な読み込みと、視座の高い対話準備が欠かせません。
統合報告書と決算資料の精読
第一生命ホールディングスが公表している統合報告書(アニュアルレポート)や決算説明会資料には必ず目を通しておきます。グループの長期ビジョン、国内生命保険事業における各ブランドの役割分担、海外展開(北米、豪州、アジア等)のポートフォリオ、新事業領域への投資方針を頭に入れ、自分がこれまでの実務経験をどの領域に還元できるかを言語化しておきます。
業界環境と競合他社との違いの整理
日本生命、明治安田生命、住友生命といった国内大手生保各社や、外資系・損保系生保とのポジショニングの違いを整理します。特に第一生命が持つ「株式会社形態であること」「海外事業比率の高さ」「マルチブランド・マルチチャネル展開」という独自の特徴を把握しておくことで、志望動機の説得力が増します。
経営視点を示す逆質問の用意
面接の終盤に設けられる逆質問では、業務への解像度と意欲をアピールします。
- 「現在推進されている『4つの体験価値』の提供に向けて、非保険領域の新規事業と既存の国内生保事業との間でシナジーを創出する際、経営企画部門として最も重要視されているモニタリング指標や課題は何でしょうか」
- 「海外拠点のさらなる成長やグループ全体のガバナンス強化において、現地の自律性とホールディングスとしての全体統制のバランスをどのように設計・運用されていますでしょうか」
入社後の具体的な実務を想定した質問を投げかけることで、即戦力としての適性と志望度の高さを印象付けることができます。



