営業事務の転職で年収を上げるには?年代・業界別の相場と面接で評価されるポイントを徹底解説
営業担当者が外回りや商談に集中できるよう、見積書や請求書の作成、受発注管理、納期調整、顧客対応などを後方から支える「営業事務(営業アシスタント)」。デスクワークでありながら、社内外の多様な関係者と関わる「組織のハブ」として、中途採用市場において常に高い人気を誇る職種です。
しかし、営業事務への転職や、営業事務としてのステップアップを目指す中で、多くの転職者が直面するのが「年収」に関する悩みや疑問です。
「営業事務の平均年収は、一般事務や他職種と比べてどの程度の水準なのか」「同じ営業事務でも、なぜ会社や業界によって年収に差が生まれるのか」「営業職のように売上数字を持たない事務職で、転職によって年収を上げることは可能なのか」「面接で希望年収を聞かれた際、どう答えれば角を立てずに評価を引き出せるのか」といった疑問を抱く方は少なくありません。
結論から言えば、営業事務の転職において年収アップを実現するための鍵は、単にタイピング速度や処理件数をアピールすることではなく、「利益率が高く給与水準が高い業界へのシフト」を図り、面接において「業務効率化による組織への定量的貢献」や「営業・顧客を先回りするサポートの再現性」を論理的に証明することにあります。
本記事では、営業事務の年代別・業界別の平均年収相場から、年収査定において面接官が注視する評価基準、面接官を納得させる「希望年収の伝え方」、年収アップを勝ち取るための実践ノウハウまで詳しく解説します。
営業事務の年代別・業界別における平均年収相場
中途採用市場において、営業事務に提示される年収水準には、年代や業界、企業規模ごとに明確な傾向が存在します。
1. 営業事務の年代別平均年収の目安
各種転職市場の統計データによると、営業事務の全体平均年収はおよそ350万〜400万円前後(月給にして23万〜30万円程度、賞与を含む)が一般的なボリュームゾーンとなっています。これは、一般事務(約330万〜350万円前後)と比較するとやや高めである一方、インセンティブが支給される営業職(約420万〜500万円以上)と比較すると控えめな水準に位置します。
| 年代 | 平均年収のボリュームゾーン | 主な評価・期待される役割 |
| 20代前半 | 280万〜340万円前後 | 基本的なPCスキル、ビジネスマナー、正確なデータ入力と受発注処理 |
| 20代後半 | 340万〜420万円前後 | 独り立ちした業務遂行力、突発的な納期トラブルへの柔軟な対応、先回りの配慮 |
| 30代 | 380万〜480万円前後 | 複数名の営業担当の統括サポート、Excel関数・マクロ等を活用した業務改善、後輩指導 |
| 40代以上 | 420万〜550万円超 | 事務チームのマネジメント、基幹システム(ERP/SFA)の運用設計、他部門との横断調整 |
2. 業界による年収格差
営業事務の基本給や賞与額は、個人の能力だけでなく、所属する「業界の利益率や事業構造」に大きく左右されます。
- IT・通信・SaaS業界:
想定年収380万〜520万円前後。市場の成長性が高く、SalesforceなどのSFA(営業支援システム)やCRMの運用スキルが求められるため、事務職の中では高水準な給与が設定されやすい傾向があります。 - 大手総合商社・専門商社:
想定年収380万〜550万円前後。輸出入が絡む貿易事務に近い業務や、タイトな納期管理が求められる分、手厚い賞与(年5〜6ヶ月分など)によって高年収に到達するケースが多く見られます。 - 医薬品(製薬)・医療機器メーカー:
想定年収400万〜550万円前後。業界全体の利益率が高く、福利厚生や住宅手当などの各種手当が充実しているため、安定して高い処遇が維持されます。 - 不動産・建設業界:
想定年収320万〜450万円前後。宅地建物取引士(宅建)などの資格を保有している場合、資格手当(月2万〜3万円程度)が加算され、年収の底上げが図れます。 - 一般製造業・食品・日用品卸:
想定年収300万〜420万円前後。事業基盤は極めて安定している一方、薄利多売の構造であることが多く、昇給ペースは緩やかになる傾向があります。
営業事務の採用面接で面接官が年収を決める「4つの評価基準」
面接官や人事担当者が、選考において「この候補者にいくらの年収を提示するか」を判断する際の評価基準を整理します。
1. 指示待ちにならない「先回りのサポート力と自走力」
単に言われた作業をこなすだけの事務員であれば、派遣社員やアルバイトで代替可能です。正社員として高めの給与を提示される人物は、外出している営業担当者の商談スケジュールや心理を先回りして察知し、「次に必要となる見積書や提案資料の草案を事前に準備しておく」「顧客の定期発注の時期をカレンダーで先回り管理してリマインドする」といった自発的な行動ができる人物です。営業組織の受注確率やスピードを高めた実績があるかどうかが、高い年収グレードに直結します。
2. 組織の生産性を高める「ITスキルと業務改善力」
営業事務の現場では、属人化している作業や、手入力による二度手間などの無駄が多く残されているケースがあります。
- 「ExcelのVLOOKUP関数やマクロを用いて、月間のデータ集計時間を〇時間削減した」
- 「受発注の入力フォーマットを共通化し、入力ミスや差し戻しをゼロにした」
- 「SFAやクラウドツールを導入・運用し、営業と事務の連携をスムーズにした」
このように、組織全体の工数を削減し、営業がコア業務に専念できる時間を生み出した経験がある人物は、即戦力として高く評価されます。
3. 社内外の板挟みを調整する「高度なコミュニケーション能力」
営業事務は、外出中の営業担当者、社内の倉庫や工場、経理部、そして取引先の購買担当者など、利害関係の異なる人々の間に立ちます。顧客からの無理な納期変更や、欠品といったトラブルが発生した際、感情的にならずに社内と連携して代替案を提示し、最小限の影響に着地させられる折衝力があるかは、上位ポジションへの採用判断において極めて重視されます。
4. 複数タスクをミスなくさばく「マルチタスク管理と緻密さ」
見積書の作成中に電話対応が入り、急ぎの在庫確認が重なるといったマルチタスクの環境下で、優先順位を冷静に見極め、金額の入力ミスや発注漏れを防止する仕組みを持っているかが審査されます。「過去に重大なミスを出さず、どのようなチェック体制で業務を行ってきたか」を論理的に語れる緻密さが求められます。
面接で「希望年収」を聞かれた際の正しい伝え方
選考面接の終盤や条件確認の場で、面接官から「現在の年収と、希望年収を教えてください」と質問された際の受け答えの技術を整理します。
1. 希望年収は「求人票の想定レンジ内」で「幅を持たせて」答える
求人票に記載されている想定年収が「350万〜450万円」である場合、その範囲内で回答するのが鉄則です。
ピンポイントで「420万円を希望します」と言い切るのではなく、「現在の年収〇万円を基準としつつ、貴社の規定を考慮し、380万〜420万円前後を希望しております」と幅を持たせて提示することで、企業側も等級(グレード)の検討がしやすくなります。
2. 年収アップを希望する際は「業務範囲やスキルの根拠」をセットにする
現職よりも高い年収を希望する場合は、「生活費が増えるから」といった私的な理由は厳禁です。「前職で培った業務改善の知見や、複数名の営業をサポートしてきた経験を活かし、入社早期からチームの生産性向上に貢献できる」という実務的な根拠を提示します。
3. 「最終的には貴社の規定に従う」姿勢を示して歩み寄る
希望を述べた後には、必ず「もちろん、最終的には貴社の人事評価規定に従い、ご提示いただく条件を前向きに検討させていただきます」と一言添えます。自己主張ばかりが先行する人物という懸念を払拭し、組織に調和できる柔軟性を印象づけることができます。
面接で評価を高める「希望年収の回答例文」
自身の現在の状況や希望額に応じた、実践的な回答例文を整理します。
例文1:現職と同水準〜微増を希望する場合(手堅く評価を得たいケース)
「現在の年収は、基本給と年2回の賞与を含めまして額面で約360万円をいただいております。
貴社における希望年収といたしましては、現職と同水準以上となる『360万〜400万円前後』を希望しております。これまで機械商社にて培ってまいりました受発注管理のスピード感や、営業担当者〇名分のスケジュールを先回りして把握するサポート力を発揮し、早期に独り立ちして貢献したいと考えております。
もちろん、最終的には貴社の人事評価規定やグレード基準に従い、総合的にご判断いただいた内容を前向きに検討させていただきます。」
例文2:実績やスキルを根拠に年収アップを希望する場合(キャリアアップを狙うケース)
「現在の年収は額面で約380万円です。
貴社への転職にあたりましては、求人票の想定レンジを拝見し、大変恐縮ながら『420万〜450万円前後』を希望しております。
理由といたしましては、現職において単なる受発注処理にとどまらず、Excel関数やマクロを活用した集計フォーマットの標準化を自ら主導し、部署全体の月間作業工数を約〇時間削減した実績がございます。また、顧客からの納期調整やトラブル対応にも一次対応として柔軟に対応し、営業担当者が商談に専念できる環境づくりを推進してまいりました。これらの業務改善力と調整力は、事業拡大を進める貴社の営業組織におきましても即座に再現できると考えております。
最低ラインといたしましては400万円から検討させていただきたく存じますが、最終的には貴社の規定に基づき、ご評価いただいた条件に従う所存です。」
例文3:異業種(販売接客・一般事務等)から挑戦し、年収維持を希望する場合
「現在の年収は額面で約330万円をいただいております。
今回は営業事務への挑戦となりますため、まずは貴社の基準に準じた評価をいただきたく考えております。生活基盤の観点から、可能であれば現職と同水準となる『330万〜360万円前後』を考慮いただけますと幸甚に存じます。
前職の販売接客で培った『相手の意図を先回りして察知する対人力』と、日頃から学習を進めているExcelやビジネス実務マナーを掛け合わせ、早期に業務をキャッチアップして組織に貢献してまいりたいと考えております。」
営業事務の転職で年収アップを成功させるための実践ポイント
選考を有利に進め、希望通りの年収条件を勝ち取るために実行すべき具体的なアクションを整理します。
- 職務経歴書を「業務改善の実績」と「定量的数値」で構造化する
単に「受発注業務」「請求書発行」と書くだけでは、最低ランクの年収提示にとどまりやすくなります。「サポートしていた営業担当者の人数(〇名)」「月間の伝票処理件数(約〇件)」「業務改善によって削減した時間やミス削減率(〇%削減)」など、規模感と定量的成果を具体的に記載します。 - 「実務に直結するPCスキル」を具体的に言語化しておく
「PC操作ができます」という曖昧な表現を避け、「Excel(VLOOKUP関数、IF関数、ピボットテーブルを用いた集計作業)」「PowerPoint(営業提案書のレイアウト調整・グラフ作成)」「SFAツール(Salesforce等の入力・ダッシュボード閲覧)」など、具体的にどのレベルで扱えるのかを明記します。ITスキルの高さは、年収グレードを引き上げる強力な武器となります。 - 「賞与の支給実績」や「固定残業代の有無」を事前に確認する
求人票に記載されている想定年収が高めであっても、「基本給が低く、みなし残業代が40時間分含まれている」「業績連動賞与の比率が高く、業績によって年収が大きく乱高下する」といったケースがあります。月々の基本給、手当、賞与の過去実績(何ヶ月分か)の内訳を精査し、持続可能で納得感のある処遇であるかを見極めることが重要です。



