成人用ADHD診断におけるDIVA面接とは?|診断プロセス・評価ポイント・受診時の流れをわかりやすく解説
注意欠如・多動症(ADHD)は子どもだけでなく、成人にも広く見られる神経発達症です。中でも「段取りが苦手」「不注意でミスが多い」「衝動的に行動してしまう」といった症状に長年悩まされてきた方の中には、成人用ADHD診断を希望するケースが増加しています。
近年、成人のADHD診断において広く使われるようになってきたのが、**「DIVA(ディーヴァ)面接」**という半構造化面接形式です。本記事では、「成人用ADHD 診断 面接 DIVA」というキーワードをもとに、DIVA面接の概要、診断の流れ、使用される評価項目、医療機関での受診の際の注意点を詳しく解説します。
1. 成人用ADHDとは?
ADHD(注意欠如・多動症)の基本概要
ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの主要な特性を持つ発達障害です。成人になると多動は目立たなくなり、「集中できない」「時間管理が苦手」「感情のコントロールが難しい」といった内面的な症状が中心になります。
成人ADHDの主な特徴:
- 忘れ物・遅刻が多い
- 締切や時間管理が苦手
- 会話の遮りや衝動的な発言
- 注意が逸れやすく、作業に集中できない
- 家事や事務作業の段取りができない
これらの症状が日常生活や仕事、人間関係に支障をきたす場合、ADHDの可能性があるとして、精神科や心療内科での診断が検討されます。
2. DIVA面接とは?|成人用ADHD診断で用いられる面接法
DIVAとは何か?
DIVA(Diagnostic Interview for ADHD in Adults)は、オランダの精神科医が開発した成人ADHDの診断補助ツールです。世界中の臨床現場で使われており、日本語版も発行されています。
特徴:
- DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)に準拠
- 半構造化面接形式で、医師や臨床心理士が対話形式で実施
- 子ども時代と成人後の行動パターンを比較評価
- 生活への影響(職場・家庭・対人関係など)を詳しく聞き取る
3. DIVA面接の構成と評価内容
DIVAでは、18歳以前と18歳以降の2つの時期に分けて、以下のような項目について詳細に確認されます。
評価される18のADHD症状(DSM-5準拠):
不注意(9項目):
- 細かいミスをする
- 集中が続かない
- 話を聞いていないように見える
- 課題の遂行が困難
- 整理整頓が苦手
- 避ける・先延ばし癖がある
- 物をよく失くす
- 外的刺激に注意が逸れる
- 忘れっぽい
多動・衝動性(9項目):
- そわそわ動く・貧乏ゆすり
- 席に座っていられない
- 落ち着きがない
- 静かに過ごすのが苦手
- しゃべりすぎる
- 衝動的な発言をする
- 我慢ができない
- 他人の話を遮る
- 行動を制御できないことがある
4. DIVA面接の流れ
面接の基本的な流れ:
- 事前問診・スクリーニング(ASRSなど)
→ ADHDが疑われる症状があるかの簡易チェック - DIVA面接の実施
→ 医師または心理士と1対1で行われ、1~2時間程度が目安
→ 家族同席が推奨されることも(特に子ども時代の情報補足のため) - 診断の判断
→ DIVAでの症状の有無、生活への影響度合い、他の疾患との鑑別を踏まえて医師が最終的に判断
5. DIVA面接を受ける際の注意点と準備
✅ 正直に、かつ日常生活を具体的に話すこと
- 自分の癖や苦手な行動を、できるだけ具体的なエピソードと共に伝える
- 「なんとなく」よりも「このような場面で、こう困った」が伝わりやすい
✅ 子ども時代の様子を思い出しておく
- 小学生時代の通知表や保護者からの情報、学校でのエピソードなどが参考になります
- 親や兄弟に事前にヒアリングしておくのも有効
✅ 面接中に遠慮しないことが大切
- 「だらしないと思われたくない」などの遠慮は不要
- 問題があるからこそ、専門家に話す価値があります
6. DIVA面接の診断結果後に考えられる対応
診断結果により、以下のような支援や対応策が提示されることがあります:
- 薬物療法(ストラテラ、インチュニブなど)
- 認知行動療法(CBT)やカウンセリング
- 生活の工夫・タイムマネジメントの指導
- 就労支援・合理的配慮の検討(発達障害者支援センターなどと連携)
まとめ|DIVA面接は、成人ADHD診断のための信頼性の高いツール
「片付けられない」「忘れ物が多い」「遅刻癖が治らない」など、長年の悩みがある方にとって、DIVA面接はADHDの有無を客観的に見極めるための有効な手段です。
✅ 記事のまとめポイント:
- 成人ADHDの診断には**DIVA面接(半構造化面接)**が使われることが多い
- 子ども時代と成人後の症状を比較しながら、DSM-5基準に基づいて評価
- 面接では正直かつ具体的なエピソードが重要
- 診断後は、治療・支援・生活改善の選択肢が広がる
ADHDは「能力がない」のではなく、「脳の特性が違う」ことによる生活上の困難です。正しい診断と理解を通じて、自分に合った働き方・生き方を見つけていきましょう。