転職面接におけるエレベーターのマナー:乗り降りや見送り時の正しい振る舞い
企業のエレベーターに乗る瞬間から選考は始まっている
転職活動の面接において、面接室の中での受け答えや、入退室の作法に気を配る応募者は多いものの、エレベーター内での振る舞いまで意識が回らないケースは、意外にも少なくありません。しかし、面接会場となる企業の建物に入った瞬間から、選考はすでに始まっていると考えるのが、ビジネスパーソンとしての基本です。
建物に入った瞬間から気を抜かない姿勢
企業のオフィスビルに到着し、エントランスを抜けてエレベーターホールに向かう道のりでも、すれ違う人が採用担当者や、面接官である可能性は十分にあります。そのため、エレベーターを待っている間も、壁に寄りかかったり、スマートフォンを操作したりする行為は、緊張感に欠ける態度とみなされるため、避けるべきです。背筋をしっかりと伸ばし、静かに到着を待つ姿勢が、仕事に対しても真面目に取り組む人物であるという、好印象に繋がります。
エレベーター内での私語や身だしなみチェックは厳禁
エレベーターの中は、密室でありながら、企業の社員と最も距離が近くなる場所でもあります。乗り合わせた社員に対して、明るく「おはようございます」や「失礼いたします」と会釈をするのは良いことですが、他の応募者と大声で私語を交わしたり、面接の愚痴をこぼしたりするのは、絶対にやってはいけない重大なマナー違反です。また、エレベーターの鏡を使って、髪型を直したり、メイクの確認をしたりする行為も、公共の場にふさわしくないため、身だしなみの最終チェックは、必ず建物の外や、駅のトイレなどで済ませておくことが求められます。
エレベーターの乗り降りにおける基本マナー
エレベーターには、上座や下座といった、ビジネスにおける席次の概念が存在します。乗り降りの順番や、立つ位置を正しく理解しておくことは、周囲への配慮ができる人物であることを証明する、重要な要素となります。
乗る順番と立つべき位置の理解
エレベーターに乗る際、企業の方と一緒になった場合は、相手に先に乗ってもらうのが基本のマナーです。「お先にどうぞ」と手で示し、相手が乗った後から、「失礼いたします」と一言添えて、自分が乗り込みます。エレベーター内における下座は、操作盤の前、あるいは操作盤がない側のドアに近い位置とされており、上座は、操作盤の対角線上にある奥の位置となります。応募者は常にお客様ではなく、面接を受けに来た立場であるため、操作盤の前に立ち、他の乗客の妨げにならないよう配慮することが大切です。
他の乗客への配慮と操作盤の対応
もし、自分が最初にエレベーターに乗り込み、操作盤の前に立つことになった場合は、後から乗ってくる人のために、「開」ボタンを押し続ける気配りが求められます。目的の階に到着して降りる際も、自分が先に降りるのではなく、「開」ボタンを押したまま、他の乗客や企業の方が降りるのを待ちます。全員が降りたのを確認してから、最後に自分が「失礼いたします」と軽く会釈をして降りるのが、洗練された大人の対応です。
面接官や担当者に見送られる際のエレベーターマナー
面接が無事に終了し、担当者や面接官が、エレベーターホールまで見送りに出てきてくれる場合があります。この見送りの場面は、応募者の最後の印象を決定づける、非常に重要なポイントとなります。
エレベーターホールまでの歩き方と会話
面接室からエレベーターホールまで歩く間も、沈黙したまま歩くのではなく、担当者の少し斜め後ろを歩きながら、面接の機会をいただいたことへの感謝や、当たり障りのない会話を交わすのが、スマートな対応です。「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました」や、「とても綺麗なオフィスですね」といった、前向きな言葉をかけることで、コミュニケーション能力の高さや、人当たりの良さをアピールすることができます。
ドアが閉まる瞬間の正しいお辞儀の作法
エレベーターが到着し、ドアが開いたら、担当者に「本日はありがとうございました。こちらで失礼いたします」と挨拶をし、エレベーターに乗り込みます。乗り込んだ後は、すぐに担当者の方を向き、正しい姿勢で立ちます。そして、エレベーターのドアが閉まり始める瞬間に合わせ、腰から約45度の角度で、深く丁寧なお辞儀を行います。ドアが完全に閉まりきるまで、頭を下げた状態を維持するか、あるいは笑顔で会釈を続けることが、最後まで相手への敬意を示す、最も美しいマナーとなります。この最後の瞬間まで気を抜かない姿勢が、面接全体の評価をさらに高めることに繋がります。





