星野リゾートの経営企画を目指す転職対策と面接通過のポイント
「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO」「BEB」など、多様なブランドを展開し、日本の観光・ホスピタリティ産業を牽引する株式会社星野リゾート。
従来の「所有と運営の一体型」から脱却し、「運営特化型ビジネスモデル」や「星野リゾート・リート投資法人(REIT)」を活用した独自の成長戦略によって、国内外で急速な拠点拡大を続けています。
地域固有の魅力を発掘するコンテンツ開発や、徹底したマルチタスク制、フラットな組織文化など、ユニークなマネジメント手法でも知られる同社において、グループ全体の事業成長と経営管理をリードする「経営企画」は極めて重要なポジションです。
星野リゾートの経営企画を志望する転職者に向けて、求められる役割や選考での評価ポイント、面接選考を突破するための具体的なアプローチ法を解説します。
星野リゾートにおける経営企画の役割と事業環境
ホテルや旅館の「不動産所有」と「施設運営」を分離し、運営受託を中心としたアセットライトな戦略をとる同社において、経営企画が担う実務は一般的な事業会社とは異なる独自性を持ちます。
1. 「運営特化型ビジネスモデル」に基づく事業計画と収益管理
同社は、自社で不動産を保有してリスクを負うのではなく、物件オーナーや投資家から運営を受託し、運営フィーを収益源とするモデルを強みとしています。経営企画には、各施設の稼働率(OCC)、客室平均単価(ADR)、RevPAR(販売可能な客室1室あたりの売上)といった指標を精緻にモニタリングし、全社的な収益構造を最適化する計数管理が求められます。
2. マルチブランド展開と新規開業・再生案件の推進
ラグジュアリー旅館「星のや」、温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」、都市観光ホテル「OMO」、ルーズに過ごすホテル「BEB」など、ターゲットや価格帯が異なるブランドポートフォリオを管理します。新規出店や経営不振に陥った既存宿泊施設の再生プロジェクトにおいて、事業性評価や投資回収計画を策定し、経営陣や物件オーナーへの意思決定支援を担います。
3. グローバル展開と観光DXの推進
国内各地での展開に加え、海外リゾートへの進出やインバウンド需要の最大化に向けた中長期戦略を策定します。また、予約システムの内製化や顧客データの分析、オペレーションの効率化といったテクノロジー領域への投資を経営視点から評価・推進する役割も重視されています。
選考で見極められる中核的なスキルと人物像
星野リゾートの中途採用選考において、書類選考や面接官が厳しく確認する評価基準は以下の通りです。
財務・管理会計の知見とホテルビジネスの計数感覚
中期経営計画の策定や予算管理を担うため、財務三表の深い理解や投資採算性(ROI、IRR、回収期間等)の検証スキルは必須となります。さらに、宿泊業特有のイールドマネジメント(需要予測に基づく価格最適化)や原価構造、人件費コントロールのロジックを客観的な数字として読み解く論理的思考力が問われます。
「フラットな組織文化」に適応する合意形成力
同社には、役職や年齢に関係なく誰もが自由に意見を述べ、議論を尽くす「フラットな組織文化」が根づいています。経営企画が上流から一方的に数字やルールを押し付けるアプローチは通用しません。現場のスタッフや支配人(総支配人)の意見に耳を傾け、フェアかつ論理的な対話を通じて納得感を醸成できる高度なコミュニケーション能力が不可欠です。
評論家にならない「当事者意識(ラストマンシップ)」
同社では、現場スタッフ全員が調理、清掃、フロントなどを兼務する「マルチタスク制」を導入しており、職種を問わず現場主義が徹底されています。机上の空論やフレームワークを語るだけの評論家タイプは厳しく敬遠されます。自ら課題を発見し、泥臭く現場へ足を運んで解決までやり切る強いオーナーシップが評価されます。
面接選考を突破するための実践的なアピール法
面接の場において、自身のこれまでの実績を同社の求める人物像に結びつけ、説得力を持って伝えるための要点を解説します。
「数字の分析から現場を巻き込み、施策を完遂した実績」を具体化する
面接では、「単にレポートや分析資料を作成した」という報告にとどまらず、関係者を巻き込んで実行までやり切ったプロセスが深掘りされます。
- 課題の特定:どのような計数データや市場環境の分析から、事業のボトルネックを発見したか
- 現場との合意形成:異なる意見を持つ事業部門や現場のメンバーとどのように対話を重ね、共通の目標を見出したか
- 定量的成果:施策を実行した結果、収益改善やコスト削減、業務プロセスの刷新といったどのような事業インパクトを残したか
このプロセスを構造的に語ることで、組織のカルチャーに馴染み、実務を前進させられる人材であることを証明できます。
「なぜ観光産業なのか」「なぜ星野リゾートなのか」に明確な論理を持たせる
同業他社(大手ホテルチェーンや外資系オペレーター)との比較において、志望動機の解像度が合否を分けます。
- 「旅行が好きだから」といった消費者目線の動機を脱し、日本の地域経済を活性化させる観光産業の可能性に自身のキャリア観がどう共鳴しているかを語る
- 運営特化型モデルやマルチブランド戦略といった同社固有のビジネスモデルに対し、自身の専門性(管理会計、事業投資評価、プロセス改革、DX推進など)がどう貢献できるかを客観的なビジネスの言葉で伝える
単なるファンではなく、事業を共に伸ばすビジネスパートナーとしての覚悟を示すことが肝要です。
逆質問で経営視座の高さと企業研究の深さを示す
面接の終盤に設けられる逆質問では、星野リゾート・リート投資法人の決算資料や代表の著作、各ブランドの事業展開方針を事前に精読した上で、本質的な問いを用意しておくことが効果的です。
「『星のや』『界』といったリゾート旅館領域と、『OMO』『BEB』などの都市観光領域との間で、リソース配分やKPI設計において経営企画として現在どのような議論を重視されていますでしょうか」「フラットな組織文化を保ちながら国内外で急速に拠点数を拡大させていくにあたり、経営陣と各施設現場との目線を揃えるために、経営企画部門としてどのような情報連携や合意形成の工夫をされているか教えていただけますでしょうか」といった、事業運営の本質に即した質問を投げかけることで、経営陣のディスカッションパートナーとしての資質を強く印象づけることができます。



