第一生命のカスタマーサクセスマネージャー(CSM)とは?役割・組織の特徴・面接対策を徹底解説
大手生保におけるカスタマーサクセス組織設立の背景
生命保険大手の第一生命保険株式会社では、対面営業を中心としてきた従来のビジネスモデルから、デジタル技術と対面支援を融合させた次世代型の顧客体験(CX)への変革を強力に推し進めています。その中核施策として位置づけられているのが、生命保険業界でも先駆的な取り組みとなる「カスタマーサクセス(CS)組織」の立ち上げです。
生命保険は、加入から数十年間にわたって契約が続く「超長期の継続利用型モデル」です。しかし従来は、対面の営業担当者(生涯設計デザイナー)の退職や異動、顧客の引っ越しや生活環境の変化によって顧客接点が希薄化し、契約内容の放置や早期解約に至るケースが業界全体の構造的課題となっていました。
こうした課題を解消するため、第一生命では顧客専任の本社非対面担当者である「カスタマーサクセスマネジャー(CSM)」を配置し、対面営業と二人三脚で顧客を支える体制を構築しました。単なるコストセンターとしての問い合わせ窓口(サポート)から脱却し、継続率向上や新たな契約機会の創出という「収益に貢献する戦略組織」として拡大を続けており、中途採用市場でも大きな注目を集めています。
主な役割と具体的な業務内容
第一生命におけるカスタマーサクセスマネージャー(CSM)は、訪問営業を行うのではなく、電話、LINE、メールといった非対面ツールに特化して契約者の伴走支援を担います。
1. 先回りのアフターサービスと手続き案内
契約者に対し、受け身で問い合わせを待つのではなく、能動的にアプローチを行います。
- 各種通知・手続きのリマインド: 保険料払込の満了、年金や満期保険金の請求手続き、特約の更新、生命保険料控除証明書の発送など、重要な節目に合わせて事前案内を実施し、手続きの漏れを防ぎます。
- 定期的な情報提供: 季節の挨拶や健康増進キャンペーン、ライフステージの変化に応じたお役立ち情報を適時配信し、接点を維持します。
2. 生涯設計デザイナー(対面営業)との二人三脚体制
CSM単独で保険の契約締結までを完結させるのではなく、対面営業担当者との分業・連携体制が敷かれています。
- 潜在ニーズのトスアップ: 非対面での丁寧な対話を通じて、顧客の家族構成の変化(結婚、出産、住宅購入など)や保障見直しの意向をキャッチした場合、詳細な提案や手続きを希望する対面営業担当者へ情報共有(トスアップ)を行います。
- 顧客接点の維持: 担当営業が不在となった契約者に対しても、本社専任のCSMが継続して伴走することで、顧客との接点が途切れる事態を未然に防ぎます。
3. デジタルツールを活用した支援の仕組み化
個別顧客への親身なコミュニケーションに加え、LINE公式アカウントやCRMツール、入力サポートツールなどを駆使し、少人数でも膨大な契約者を支えられるオペレーションの効率化が進められています。
一般的なSaaSのCSと第一生命CSMの比較
| 比較項目 | 一般的なBtoB SaaSのカスタマーサクセス | 第一生命のカスタマーサクセスマネジャー(CSM) |
| 主な対象顧客 | 企業の担当者、経営層(法人) | 個人契約者(BtoC) |
| 主な目的 | 業務システムの活用定着、ROI創出 | 保障の維持、ライフプラン実現の伴走、接点の途切れ防止 |
| 支援の手法 | Web会議、機能レクチャー、業務フロー再設計 | 電話、LINE、メールによる非対面フォロー |
| 営業との関係 | 営業から引き継ぎ、CSが単独で伴走することが多い | 対面営業(生涯設計デザイナー)と二人三脚で常時連携 |
| 追う指標(KPI) | NRR、解約率、機能利用ログ | 契約継続率、コンタクト接続数、営業へのトスアップ件数 |
法人向けSaaSのように複雑な業務システムの導入を主導するわけではありませんが、個人の生活や感情に深く寄り添い、長期的な信頼関係を築く対人スキルが極めて重視されます。
求められるスキルと評価される人物像
中途採用選考において、採用側が特に注目している資質には以下のものがあります。
非対面環境における高い傾聴力とテキスト表現力
対面とは異なり、電話の声のトーンやLINE・メールの文面だけで安心感を醸成する必要があります。相手の生活リズムや心情を察し、形式的ではない温かみのあるテキストコミュニケーションが取れる人材が高く評価されます。
「受動的対応」から「先回りのアプローチ」への意識転換
コールセンターやカスタマーサポートの経験者が応募する場合、単に「問い合わせに正確に答えた」という実績だけでは不十分です。顧客の契約状況やこれまでの履歴から「今どんな疑問や不安を抱えているか」を先回りして察知し、自発的に解決策を提示できる能動性が求められます。
組織間のハブとして機能する協調性と情報共有力
現場の対面営業担当者と競合するのではなく、協業関係を築く必要があります。顧客の些細な近況変化を正確に記録・整理し、営業担当者が動きやすい形でトスアップできる連携力が重要となります。
転職面接で評価を高める伝え方
第一生命のカスタマーサクセス選考を突破するためには、これまでのキャリアを「能動的な伴走支援」の文脈へ翻訳し、組織の狙いに即した貢献意欲を伝えることが鍵となります。
「顧客と中長期で信頼を深めたエピソード」を軸に据える
営業、カスタマーサポート、接客販売、事務などの出身者に関わらず、1回限りの対応で終わらせず、継続的に関係性を維持した経験を構造化して語ります。
「前職のカスタマーサポート業務において、一度問い合わせを受けた顧客に対して定期的にフォロー連絡を入れ、使いにくさを感じていないか確認したことで解約を防いだ経験」や、「日々の対話から顧客の潜在的な悩みを引き出し、営業担当と連携して追加の提案に結びつけたプロセス」を伝えることで、第一生命のCSMが求める役割との親和性を強く印象づけることができます。
「収益に貢献するサクセス組織」への理解を示す
志望動機において「大企業で安定しているから」「人に親切に接したいから」という理由だけを述べると、ビジネス感覚の希薄さを懸念されます。
「アフターサービスを単なるコストではなく、契約継続率の向上や新たなニーズ発掘といった事業収益の源泉として位置づける同社の先進性に共感した」という視点を言語化します。「非対面ならではの機動力を活かし、契約者一人ひとりに寄り添いながら、対面営業担当者と共に強固な顧客基盤を支えたい」と伝えることで、組織の立ち位置を深く理解した即戦力候補として、面接官の納得感を高めることができます。



