面接時のマナー:椅子の左側に立つのは本当?正しい立ち位置と着席の作法
面接室で椅子のどちら側に立つべきか
転職活動における面接では、入室から着席するまでのわずかな時間の所作が、応募者の第一印象を決定づける重要な要素となります。その中でも、面接室に用意された椅子のどちら側に立つべきかについては、多くの転職者が迷いやすいポイントであり、正しいマナーを理解しておくことが求められます。
基本は椅子の「左側」または「下座」
面接室に入室し、自身が座る予定の椅子まで進んだ際、一般的なビジネスマナーにおいては、椅子の「左側」に立つのが基本とされています。これには、古くからの礼儀作法において、左側が下座にあたるという考え方が背景にあります。また、出入り口であるドアに近い側を下座とするルールもあり、多くの部屋の構造上、左側がドアに近くなるケースが多いことも理由の一つです。面接官に対して謙虚な姿勢を示し、相手を敬う意図を伝えるためにも、基本的には椅子の左側、あるいは下座側に立つことを意識しておくと安心です。
動線が不自然になる場合は柔軟に対応する
基本ルールは椅子の左側に立つことですが、実際の面接会場では、部屋のレイアウトやスペースの都合により、左側に立つのが困難な場合もあります。ドアから椅子に向かって歩いてきた際、右側からアプローチする方が自然な動線であるにもかかわらず、無理に左側へ回り込もうとすると、動作が不自然になり、落ち着きのない印象を与えてしまいます。そのような場合は、無理に左側にこだわらず、自分が歩いてきた動線から最も自然に立てる側、つまり椅子にスムーズにアクセスしやすい側に立つのが、結果的にスマートな対応となります。臨機応変な判断力が、大人のビジネスパーソンとしての余裕を感じさせます。
椅子の横に立つまでの正しい手順と姿勢
椅子のどちら側に立つかだけでなく、そこに至るまでの歩き方や、立ち止まった後の姿勢も、面接官の評価に直結する重要なチェックポイントです。
入室から椅子の横までの歩き方
ドアをノックし、入室の許可を得て静かにドアを開けたら、「失礼いたします」と挨拶をします。ドアを閉めた後、背筋を真っ直ぐに伸ばし、面接官の目、あるいは顔全体を見るように意識しながら、用意された椅子に向かって一定のペースで歩みを進めます。この時、緊張からうつむいて歩いたり、不安げに周囲を見回したりすると、自信がないように見受けられてしまうため、堂々とした態度で前を向いて歩くことが大切です。
椅子の横に立った際の美しい姿勢
椅子の左側、あるいは自然に立てる側に到着したら、すぐには着席せず、足を揃えて真っ直ぐに立ち、美しい立ち姿勢を作ります。男性は両手を体の横に自然に添え、指先を軽く伸ばして揃えます。女性は、体の前で両手を自然に重ね合わせることで、より上品で丁寧な印象を与えることができます。姿勢が整ったら、面接官の目をしっかりと見て、明るくはきはきとした声で、「〇〇と申します。本日はよろしくお願いいたします」と、自身の名前と挨拶の言葉を明確に伝えます。
挨拶から着席までのスムーズな流れ
挨拶を終えた後、どのタイミングで椅子に座るのかという動作も、社会人としての常識や、組織における協調性を測るための指標となります。
面接官の目を見て行う「語先後礼」の挨拶
椅子の横で挨拶をする際は、言葉を先に発し、その後に頭を下げる「語先後礼(ごせんごれい)」という作法を徹底します。挨拶の言葉を述べながら同時にお辞儀をするのは、雑な印象を与えてしまうため、面接の場では不適切です。必ず相手の目を見て言葉を伝え切り、一呼吸置いてから、腰から約45度の角度で深く頭を下げる最敬礼を行うことで、相手への深い敬意と誠実さを表現することができます。
面接官の合図を待ってからの着席
挨拶とお辞儀を終えた後、自分から勝手に椅子に座ることは、重大なマナー違反です。必ず、面接官から「どうぞお座りください」といった、着席を促す言葉があるまで、そのままの姿勢で静かに待ちます。面接官からの合図があったら、面接官の目を見て「失礼いたします」と軽く一礼をし、その後、静かに椅子に腰を下ろします。カバンなどの手荷物は、着席と同時に、自身が立っていた側と同じ側の床に、自立させて置くのが一般的なマナーです。
退室時のマナーと椅子の扱い
面接の質疑応答が終了し、退室する際にも、椅子の横での立ち振る舞いが、面接官に残す最後の印象を決定づけます。
立ち上がってからの挨拶とお辞儀
面接官から終了の合図が出されたら、まずは座ったままの姿勢で、「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました」と感謝の言葉を述べます。その後、静かに立ち上がり、入室時と同じ椅子の横に真っ直ぐに立ちます。姿勢を正してから、再度面接官の方を向き、「本日はありがとうございました」と挨拶をし、深いお辞儀を行います。
椅子の位置を戻すなどの細やかな配慮
退室の挨拶を終えた後、面接中に自身が椅子を動かして座っていた場合は、立ち上がった際に、椅子を元の位置に静かに戻す配慮ができると、より好印象を与えられます。荷物を持ち、ドアの前まで進んだら、最後にもう一度面接官の方を振り返って「失礼いたします」と一礼し、静かに退室します。最初から最後まで、丁寧な所作と相手への配慮を貫くことが重要です。





