面接で「座右の銘」を聞かれたら?面接官の意図と好印象を与える選び方・伝え方
転職活動の面接において、志望動機や自己PRなどの定番の質問に加えて、「あなたの座右の銘は何ですか」と尋ねられることがあります。座右の銘とは、自分の心に留めて戒めや励ましとしている言葉のことですが、いざ面接の場で聞かれると、どのような言葉を選べば良いのか、あるいはどのように説明すれば評価に繋がるのか、迷ってしまう方は少なくありません。単に好きな言葉を答えれば良いというわけではなく、面接というビジネスの場においては、企業側がなぜその質問をしているのかという意図を正確に汲み取ることが重要です。本記事では、面接官が座右の銘を質問する本当の理由や、自身の魅力を引き立てる言葉の選び方、そして、説得力を持たせるための効果的な伝え方について、詳しく解説します。
なぜ面接で「座右の銘」を聞かれるのか?面接官の3つの意図
面接官は、単なる世間話や興味本位で座右の銘を聞いているわけではありません。この質問を通じて、履歴書や職務経歴書だけでは見えにくい、応募者の内面的な特徴を深く知ろうとしています。
応募者の根本的な価値観や人柄を知るため
座右の銘には、その人がこれまでの人生で何を大切にし、どのような考え方を基準にして行動してきたのかという、根本的な価値観が色濃く反映されます。企業は、自社の社風や企業理念と、応募者の価値観がマッチしているかどうかを、採用において非常に重視しています。そのため、座右の銘を通じて応募者の人柄や考え方の核となる部分を知り、組織に馴染み、既存の社員と良好な関係を築いていける人物であるかを見極めようとしています。
仕事への向き合い方やモチベーションの源泉を確認するため
ビジネスの現場においては、困難な課題に直面したり、大きな壁にぶつかったりすることが多々あります。面接官は、座右の銘を聞くことで、応募者が逆境に立たされた際に、どのような言葉を心の支えにして乗り越えようとするのか、つまり、ストレス耐性やモチベーションの源泉を確認したいと考えています。前向きで努力を惜しまない姿勢を示す言葉であれば、入社後も困難から逃げずに、粘り強く仕事に取り組んでくれるだろうという、ポジティブな期待に繋がります。
論理的に説明できるプレゼン能力を見るため
座右の銘そのもの以上に、なぜその言葉を選んだのかという「理由」や、その言葉が自分の人生にどう影響を与えたのかという「背景」を、相手に分かりやすく説明できるかどうかも、重要な評価ポイントとなります。自分の考えを筋道立てて整理し、初対面の面接官に対して説得力を持って伝える能力は、顧客への提案や社内でのコミュニケーションなど、あらゆる実務において求められる不可欠なビジネススキルです。
面接で好印象を与える「座右の銘」の選び方
数ある言葉の中から、面接の場にふさわしい座右の銘を選ぶためには、自分自身を的確に表現でき、かつ企業に貢献できるイメージを持たせる言葉を見つけることが重要です。
応募する企業が求める人物像に合致する言葉を選ぶ
どれほど素晴らしい言葉であっても、それが企業の社風や求める人物像と大きくかけ離れていては、良い評価を得ることはできません。例えば、チームワークを重視する企業に対して、個人の独立独歩を強調する言葉を選ぶと、協調性に欠けるという懸念を抱かれる可能性があります。事前に企業理念や採用ホームページを熟読し、企業がどのような価値観を大切にしているのかを理解した上で、その方向性に合致しつつ、自分らしさも表現できる言葉を選ぶことが賢明です。
自分自身の経験や具体的なエピソードと結びつく言葉を選ぶ
面接官が最も聞きたいのは、有名な偉人の言葉そのものではなく、その言葉とあなた自身との「繋がり」です。過去の成功体験や、大きな挫折を乗り越えた経験など、実際の具体的なエピソードと深く結びついている言葉を選ぶことで、回答に圧倒的な説得力が生まれます。エピソードがないまま、響きの良さだけで言葉を選んでしまうと、面接官からの深掘りされた質問に答えることができず、表面的な回答であると見抜かれてしまいます。
奇をてらわず、誰もが理解しやすい言葉を選ぶ
面接官に強い印象を残そうとするあまり、難解な古典の言葉や、一部の人しか知らないようなマイナーな格言を選ぶ必要はありません。意味の説明に時間を取られてしまい、肝心のあなた自身のエピソードを伝える時間が短くなってしまう恐れがあるためです。四字熟語や一般的なことわざ、あるいは有名な歴史上の人物の言葉など、面接官がすぐに意味を理解できる、馴染みのある言葉を選ぶ方が、コミュニケーションがスムーズに進み、好印象に繋がります。
座右の銘を効果的に伝えるための構成と例文
選んだ座右の銘を面接官に納得してもらうためには、論理的で分かりやすい構成で伝えることが不可欠です。ビジネスコミュニケーションの基本である「PREP法」を意識し、順序立てて説明するよう心がけてください。
結論から話し、エピソードと仕事への活かし方を繋げる
回答の構成としては、まず結論として「私の座右の銘は〇〇です」と明確に答えます。次に、なぜその言葉を選んだのかという理由を、過去の具体的なエピソード(仕事での経験や、困難を乗り越えたエピソードなど)を交えて説明します。そして最後に、その座右の銘の考え方を、応募先企業での業務にどのように活かして貢献したいのかという、未来への展望を語って締めくくります。この構成を守ることで、熱意と論理性の両方をアピールすることができます。
【例文】四字熟語を用いた座右の銘の伝え方
「私の座右の銘は、『初志貫徹』です。一度決めた目標は、いかなる困難があっても最後までやり遂げるという考え方を、常に大切にしています。前職で新規プロジェクトのリーダーを任された際、途中で想定外のトラブルが連続し、チームの士気が下がりかけたことがありました。しかし、私は『初志貫徹』の言葉を胸に、当初の目的である顧客の課題解決に立ち返り、メンバーと根気強く解決策を模索し続けた結果、無事にプロジェクトを成功させることができました。御社に入社後も、この言葉を忘れず、どのような困難な業務であっても、最後まで責任を持ってやり抜き、確実に成果を出して貢献したいと考えております。」
面接で避けるべき「NGな座右の銘」と注意点
最後に、面接の場で座右の銘として答えるには不適切であり、面接官の評価を下げてしまう可能性のある言葉の選び方について解説します。
他力本願やギャンブルを連想させる言葉
「果報は寝て待て」や「明日は明日の風が吹く」といった言葉は、日常生活においては心の余裕を示す良い言葉ですが、ビジネスの場においては、「自ら主体的に行動しない」「計画性がない」といったネガティブな印象を与えかねません。また、ギャンブルを連想させるような、運や偶然に頼る言葉も、社会人としての責任感や堅実さに欠けると判断されるため、選考の場では避けるべきです。
意味を誤解している、またはエピソードがない言葉
言葉の本来の意味を正しく理解せずに使っていたり、自分の人生と全く関係のない言葉を借り物のように話したりすることは、面接官にすぐに見透かされます。「なぜその言葉なのですか」と質問された際に、自分の言葉で深く語ることができなければ、「表面的な取り繕いをする人物」として、信頼を失うことになります。必ず、自分自身が本当に共感し、その言葉を体現するようなエピソードを持っている言葉を選ぶことが、最も重要です。





