転職の面接で源泉徴収票の提出を求められたら?企業側の意図と適切な対応方法
転職活動を進める中で、面接の段階、あるいは内定が出る前のタイミングで、企業から「源泉徴収票」の提出を求められるケースがあります。通常、源泉徴収票は、入社後の年末調整などの手続きのために、内定を承諾して入社が決まった後に提出する書類です。それにもかかわらず、なぜ選考の途中で提出が求められるのか、疑問や不安を抱く転職者は少なくありません。本記事では、面接時に源泉徴収票の提出を求められる理由や、提出することによって生じる可能性のあるリスク、そして、求められた際の適切な対処法について、詳しく解説します。
なぜ面接の段階で源泉徴収票の提出を求められるのか
企業が、選考中という早い段階で源泉徴収票の提出を求めるのには、主に給与の決定や、経歴の裏付けといった明確な意図が存在します。
現在の給与水準を正確に把握するため
中途採用において、多くの企業は、応募者の現在の年収、あるいは前職での給与水準をベースとして、入社後の給与条件を検討します。自己申告による履歴書や面接でのヒアリングだけでは、基本給や各種手当、残業代などの内訳が不透明であり、正確な年収額を把握できないことがあります。そのため、企業は源泉徴収票という公的な書類を確認することで、応募者の現在の給与を正確に把握し、自社の給与テーブルと照らし合わせながら、適切なオファー金額を算出するための参考資料としたいと考えています。
経歴や申告内容に虚偽がないかの確認
源泉徴収票には、年収の金額だけでなく、発行元の企業名や、在籍していた期間などの情報が記載されています。企業は、応募者が履歴書や職務経歴書に記載した勤務先や、在籍期間、そして申告した年収額に、虚偽や誇張がないかを確認するための証明書類として、源泉徴収票の提示を求めることがあります。これは、採用後のミスマッチやトラブルを防ぎ、応募者の信頼性を担保するための、一種のリスク管理として行われています。
面接時に源泉徴収票を提出するリスクと注意点
選考の途中で源泉徴収票を提出することには、企業側にはメリットがある一方で、応募者側にはいくつかの注意すべきリスクが存在します。
個人情報の取り扱いに関する懸念
源泉徴収票には、給与の支払い金額だけでなく、社会保険料の金額や、扶養家族の有無、配偶者控除の状況など、非常にプライベートで機微な個人情報が詳細に記載されています。まだ入社が決まっていない、選考中の企業に対して、これらの詳細な個人情報を開示することには、情報の取り扱いやプライバシー保護の観点から、不安を感じる応募者が多いのは当然のことです。不採用となった場合、その書類がどのように破棄されるのかといった懸念も残ります。
年収交渉において不利になる可能性
現在の年収が、自らのスキルや実績に見合っていないと感じており、転職を機に大幅な年収アップを希望している場合、選考中の源泉徴収票の提出は、マイナスに働く可能性があります。企業側が、提出された源泉徴収票の金額を基準にして給与額を決定しようとするため、「現在の年収と同等、あるいは微増」といった、保守的なオファーを提示される可能性が高くなります。純粋なスキル評価による年収提示を受けたい場合、事前の給与開示は、年収交渉の余地を狭めてしまう要因となり得ます。
源泉徴収票の提出を求められた際の適切な対処法
面接や選考の途中で源泉徴収票の提出を求められた場合、ただ言われるがままに提出するのではなく、状況に応じた冷静な対応が求められます。
提出の目的を丁寧に確認する
まずは、なぜこの段階で源泉徴収票が必要なのか、企業側の意図を丁寧に確認することが重要です。「恐れ入りますが、源泉徴収票は入社後の手続きに必要と認識しておりました。この段階でのご提出は、どのような目的で使用されるのでしょうか」と、角が立たないように質問してみてください。給与の算定に必要なのか、経歴の確認に必要なのか、理由が明確になることで、納得して提出できるかどうかの判断基準となります。
内定後の提出を打診してみる
個人情報の開示に強い抵抗がある場合や、年収交渉への影響を避けたい場合は、内定後の提出を打診してみるのも一つの方法です。「現在の給与額につきましては、面接でお伝えした通りで相違ございません。源泉徴収票には、家族構成などの個人的な情報も含まれておりますため、大変恐縮ですが、内定をいただき、入社に同意した段階でのご提出とさせていただくことは可能でしょうか」と、誠意を持って伝えてみてください。多くの場合、正当な理由があれば、内定後の提出へと調整してもらえる可能性があります。





