PwCにおける営業企画の役割とは?業務内容・求められるスキルと面接対策を徹底解説
世界150カ国以上にネットワークを展開し、Big 4の一角として監査・保証業務、コンサルティング、ディールズ、税務、法務などの総合プロフェッショナルサービスを提供するPwC。日本においても、PwC Japanグループとして各法人が有機的に連携し、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスのもと、日本を代表する大手企業の経営変革からデジタル実装、事業再生、サステナビリティ経営に至るまで、多角的な支援を展開しています。
クライアント企業が直面する経営課題が高度化・複雑化し、単一の専門領域だけでは解決できない大規模かつ横断的なプロジェクト(クロスソリューション案件)が増加する中、ファーム全体の提案力を科学的・組織的に最大化する「営業企画(クライアント&マーケット/セールスオペレーション/セールスイネーブルメント/ビジネスディベロップメント推進)」は、組織の収益基盤と事業拡大を支える要のポジションとして採用市場でも注目を集めています。
コンサルティング業界やプロフェッショナルファームへの転職を目指す営業経験者、企画職の方に向けて、PwCにおける営業企画の位置づけ、具体的な実務領域、求められる人物像、そして採用面接を突破するためのアピールポイントについて詳しく解説します。
総合プロフェッショナルファーム・PwCにおける営業企画の位置づけ
プロフェッショナルファームにおける案件獲得(営業活動)は、伝統的にパートナーやディレクターと呼ばれる上層部が、長年培った顧客ネットワークや業界知見を活かして個別に行ってきました。
しかし、企業のDX推進、サプライチェーン全体の再構築、脱炭素への対応といった現在の主要テーマは、戦略、テクノロジー、リスク、税務、ディールズなど、複数の専門部隊を結集させなければ高品質な提案が成立しません。
このような背景のもと、営業企画(マーケッツ部門/セールス推進機能)が果たすべきミッションは以下の通りです。
1. インダストリー(業界)とコンピテンシー(機能)の横断連携
製造、金融、公共、ヘルスケアといった「業界別セクター」と、ストラテジー、テクノロジー、カスタマー、サイバーセキュリティといった「機能別ソリューション部隊」をつなぎ、最重要クライアント(プライオリティアカウント)に対する立体的なアカウントプランを策定します。
2. 大規模コンペティションにおける提案勝率の引き上げ
数千万円から数十億円規模に及ぶ大型案件や官公庁・グローバル企業の入札案件において、過去の受注・失注要因を分析し、提案書の構成、価格戦略、プレゼンテーション手法などの勝ちパターンをナレッジ化して組織へ定着させます。
3. SFA/CRMを活用したグローバル基準のパイプライン管理
Salesforceなどの営業支援ツールを活用し、初期の引き合いから商談化、提案、コンペ、受注に至るパイプラインの歩留まりを精緻に可視化します。各事業部リーダーや経営陣に対して精度の高い売上・受注予測(フォーキャスト)を提供し、機動的な意思決定を支えます。
営業企画の具体的な業務内容
担当する事業法人(PwCコンサルティング、PwCアドバイザリー、グループ合同のマーケッツ部門等)によって注力テーマは異なりますが、代表的な実務領域は主に以下の通りです。
1. アカウント戦略の立案と目標(予算・KPI)の配分
- ファーム全体の中期事業計画に連動した、インダストリー別・主要クライアントグループ別の受注目標や売上目標の設計
- 国内主要企業の決算情報、中期経営計画、IT投資動向を分析し、注力すべき戦略ターゲット企業群の選定
- 各部門への目標配分と、引き合い件数、提案移行率、クロスセル率(複数ソリューションの併売率)などの進捗モニタリング
2. 提案支援ツールの整備とセールスイネーブルメント
- 複雑なプロフェッショナルサービスの内容やプロジェクト実績を、クライアントの経営層へ分かりやすく提示するための提案テンプレートや事例集の作成
- 競合ファームとの差別化ポイントを整理した提案ガイドラインの策定
- 新任ディレクターやマネージャー層向けの提案スキル向上セッション、ロールプレイング研修の企画運営
3. SFA/CRMの運用定着とパイプライン分析
- 営業支援システムにおけるデータ入力ルールの策定と、現場コンサルタント・パートナーへの定着推進
- 引き合いから課題特定、提案書提出、役員プレゼン、契約締結に至る各フェーズの歩留まりや失注要因をデータで分析
- ファームのリーダーシップ層に対する、週次・月次の売上・受注着地予測(フォーキャスト)の定期レポーティング
4. マーケティング・広報部門との連携
- 自社のシンクタンクやマーケティング部門が主催するエグゼクティブ向けセミナー、カンファレンスで獲得したリードを、現場の提案部隊へ円滑に引き渡すプロセスの設計
- 営業現場で吸い上げた最新の顧客課題を整理し、新しいソリューション開発や調査レポート(Thought Leadership)のテーマ選定へフィードバックする循環の構築
求められるスキルと活躍できる人物像
採用面接や実務において高く評価される主な資質や能力は以下の通りです。
1. 複雑なビジネス課題を構造化する高度な論理的思考力
PwCが対峙するクライアントや社内のプロフェッショナルは、いずれも高い論理性を持ち合わせています。単にデータを集計するだけでなく、「なぜ特定のセグメントで受注が伸び悩んでいるのか」「どの専門領域を組み合わせれば競合優位性を発揮できるのか」を、客観的なファクトと数字に基づいて筋道立てて説明できる論理的思考力が強く求められます。
2. プロフェッショナルに対する深い敬意と合意形成力
現場を率いるパートナーやコンサルタントは、極めて高い専門性とプライドを持って業務に当たっています。企画部門側の理屈だけで一方的に管理ルールを押し付けたり、過度な入力負担を課したりする姿勢は反発を招きます。多忙な現場の実情に寄り添い、相手の専門性を尊重しながら、全社最適の方向へ自然に巻き込める高い対人折衝能力が不可欠です。
3. 自律性とスピード感を持ったプロジェクト推進力
明確な指示を待つ姿勢では、変化の速いプロフェッショナルファームで成果を出すことはできません。自ら組織の歪みやパイプライン上のボトルネックを見つけ出し、関係者を巻き込みながら解決策を迅速に実行できる当事者意識(オーナーシップ)が重要視されます。
これまでの経験をアピールにつなげる視点
異業界や現場営業からのキャリアチェンジを目指す場合、過去の実務実績をPwCの営業企画の要件に結びつけることが重要です。
- IT・SIer・コンサルティング業界の営業・企画経験者:無形商材やソリューション営業の商談プロセス、コンペティションへの理解を活かしつつ、「自作の提案フレームワークを展開して組織の勝率を引き上げた」「複数部門を巻き込んで大型案件を受注した」といった仕組み化の実績を軸に据えます。
- 金融・広告・メガベンチャーの法人営業経験者:クライアントの経営層に対する提案経験をベースとしつつ、「個人の売上数字」にとどまらず、「若手向けの提案ナレッジを共有化した」「SFAのデータを活用して停滞案件を掘り起こした」といった組織貢献の実績を語ります。
- 他業界の営業企画・事業企画経験者:データ分析によるパイプライン改善、KPI設計、SFAの運用定着など、「営業組織を仕組み化して組織全体の業績を向上させた実績」を客観的な数字とともにアピールします。
採用面接を突破するためのアピールポイント
中途採用面接において適性を伝える際は、「課題の構造化」「周囲の巻き込み」「客観的な数値成果」の3つのステップで整理して語ることが重要です。
「個人の成果」から「仕組み化」への意識の転換を語る
営業現場の経験を持つ場合、「自ら売上目標を達成した」という話だけでは差別化になりません。 「自分が直接案件を受注すること以上に、自分が設計した提案フォーマットや分析データによってチーム全体の勝率が伸びる瞬間に最もやりがいを感じた」といった、実体験に基づいた転換点を明確に言語化します。
業務改善のプロセスを客観的な数字で説明する
過去に自発的に取り組んだ改善について、具体的な数値を用いて論理的に説明します。
- 「チーム内の商談進捗データを分析し、初回商談から有効提案への移行率が低い要因を特定した」
- 「業界別のヒアリングシートや事例集を整備し、若手メンバー向けの勉強会を実施した」
- 「結果として、チーム全体の提案移行率が従来の〇%から〇%へと改善し、商談準備にかかる時間を月間〇時間短縮させた」
PwCのパーパスとコラボレーション文化への共感を示す
同社の選考では、合理的なスキルだけでなく、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスや、多様なプロフェッショナルが連携するコラボレーション文化への深い共感が見極められます。「PwCが持つ幅広い専門領域とグローバルアセットを活かし、最前線のプロフェッショナルが自信を持って顧客の経営変革に伴走できる強固な営業基盤を創り上げたい」という真摯な姿勢を自らの言葉で伝えることで、同社が求める営業企画としての説得力が高まります。



