ラクスの事業企画で選考を通過するための面接対策ガイド
ラクスにおける事業企画の役割と求める人物像
株式会社ラクスは、「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」をミッションに掲げ、累計導入社数トップクラスを誇る経費精算システム「楽楽精算」や電子請求書発行システム「楽楽明細」、販売管理・勤怠管理・労務管理など、中小企業を中心としたバックオフィス業務を効率化するクラウドサービス(SaaS)を多数展開しています。また、SaaS事業にとどまらず、ITエンジニア派遣などのIT人材事業も手掛けています。
同社における事業企画(各事業部直下の企画部門、戦略企画部、PMM=プロダクトマーケティングマネージャー、事業推進・管理担当など)は、単なる予算編成や会議体の運営といった事務局業務にとどまりません。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス(The Model型分業体制)から成る強固なビジネス組織と、エンジニア・プロダクト開発組織をつなぎ、「複数プロダクト間のシナジーを創出し、徹底した計数管理と業務プロセスの仕組み化を通じて、事業のARR(年間経常収益)と営業利益を持続的かつ高成長でスケールさせる」という重責を担っています。
面接選考において面接官が注目しているのは、主に以下の観点です。
1. 「属人性の排除」と「再現性のある仕組み化」へのこだわり
ラクスを象徴する最大の特徴は、「個人の勘や気合、天才的な営業力」に依存せず、すべての成功プロセスを言語化・データ化して組織全体の資産へと昇華させる「徹底した合理性と仕組み化」にあります。一過性の派手な実績を誇るだけの姿勢は評価されません。「なぜその成果が出たのか」を因果関係まで論理的に説明し、誰が担当しても同じ成果を再現できるフレームワークやプロセスを設計できる人材が強く求められます。
2. 「ラクスリーダーシッププリンシプル(RLP)」の体現度
同社では、社員の共通の行動指針として「ラクスリーダーシッププリンシプル(11項目)」を定義しています。「自分自身の会社だと思う(当事者意識)」「全体最適視点をもつ」「小さく試して大きく育てる」「費用対効果を考える」「やるべきことを実行する」といった原則が、日々の意思決定に深く浸透しています。事業企画として、部分最適に陥らず全社的な視座を持ち、限られた経営資源の中で費用対効果をシビアに見極めながら施策を推進できるかが問われます。
3. SaaSビジネスのメトリクスを連動させる緻密な計数感覚
同社は、高い成長率と強固な収益性(営業利益)を両立させる規律ある経営を徹底しています。ARR、MRR、顧客獲得単価(CAC)、CAC回収期間、解約率(チャーンレート)、顧客生涯価値(LTV)、ARPU(顧客平均単価)といったSaaSメトリクスを深く理解し、どの指標を改善することが事業全体のP/L(損益計算書)や資本効率に直結するのかを、数字を共通言語として冷静に分析・設計できる計数能力が不可欠です。
採用面接で頻出する質問と回答の方向性
選考を通過するためには、同社のカルチャーとSaaSの成長モデルを正しく理解し、自身の思考プロセスと行動実績をファクトベースで伝える準備が必要です。
1. 「なぜ他のSaaS企業やメガベンチャーではなく、ラクスの事業企画なのか」
志望動機の根幹を問う最重要の質問であり、「楽楽精算が有名だから」「成長しているSaaS企業だから」といった表面的な企業賛美は評価されません。
- 回答のポイント: 「中小企業の業務効率化という巨大な社会課題に対し、徹底した仕組み化と分業体制、そして高成長と高収益を両立させる卓越した事業規律をもって挑んでいる点に強く惹かれている」「自身の計数管理力やプロセス改善の推進力を活かし、単一プロダクトの枠を超えた複数プロダクトのクロスセル促進や、持続可能な高収益モデルの拡大に貢献したい」など、同社固有の強みと自身の挑戦意欲を具体的に伝えます。
2. 「これまでに主導した事業改善で、最も成果を出した経験は何か(再現性の説明)」
過去の実績を通じて、不確実な環境における問題解決力と再現性を測る質問です。ラクスでは「成果の大きさ」と同じくらい「プロセスが再現可能か」が問われます。
- 回答のポイント: STARメソッド(状況、課題、行動、結果)に沿って構造化します。「手元のデータからどのボトルネック(リードの歩留まり悪化、商談プロセスの停滞、特定プロセスの工数過多など)を特定したか」「関係部門とどのように利害を調整し、新たなKPIやマニュアル、業務フローを設計したか」「結果として事業の売上、利益率、重要指標にどのような定量的インパクトを与えたか」を具体的に語ります。「自分以外のメンバーも同じ成果を出せるよう、どのように仕組み化したか」を必ず付け加えます。
3. 「現場の営業部隊や開発陣(PdM・エンジニア)と意見が対立した場合、どう調整するか」
「企画部門の求める収益目標や標準化方針」と「現場の営業負担・開発工数の制約」の摩擦を乗り越える対人折衝力を試す質問です。
- 回答のポイント: 「経営陣の決定だから」と正論を押し付ける姿勢は厳禁です。まずは各部門が反発する背景(現場の運用負荷、開発スケジュールへの影響など)を真摯に傾聴する姿勢を示します。その上で、客観的なデータ(顧客の利用動向や工数削減のシミュレーション)を提示し、「小さく試して大きく育てる」の精神で一部のチームでのパイロット検証から始めるなど、現場の不安を解消しながら合意を形成した実績を論理的に語ります。
4. 「不完全なデータや前提が崩れやすい状況で、どのように事業計画を策定するか」
不確実性を排除し、PDCAを回す思考力を測る質問です。
- 回答のポイント: 完璧な前提条件が揃うのを待つのではなく、手元の情報から客観的な仮説を立て、ベース・ベスト・ワーストの複数シナリオを作成してリスクを管理しながら、小さく検証を重ねて軌道修正を行った実績を語ります。
経歴別の強みと面接でのアピール方法
これまでのバックグラウンドに応じて、面接官が期待する領域や懸念しやすいポイントが異なります。
他のSaaS・ITベンチャー出身者
The Model型の分業体制やSaaSメトリクスへの精通は即戦力として高く評価されます。
- 伝えるべき強み: マーケティングからカスタマーサクセスまでのファネル分析力、アジャイルな意思決定への親和性、KPIツリーの設計実績。
- 面接での意識: 「勢いや個人の営業力に頼ったグロース」ではなく、業務プロセスの標準化や費用対効果(ROI)を冷静に見極めて組織を運営できる規律の高さをアピールします。
戦略・総合コンサルティングファーム出身者
論理的思考力、市場分析力、構造化能力、精緻な事業計画書の作成力は大きな武器になります。
- 伝えるべき強み: 抽象度の高い事業課題の特定力、データ分析に基づく戦略立案、複数部門を巻き込むプロジェクト管理スキル。
- 面接での意識: 「綺麗なスライドや提言だけで終わるのではないか」「現場の泥臭い運用改善や根回しを嫌がるのではないか」という懸念を払拭するため、自ら現場に入り込んで関係者を巻き込み、施策を実行段階までやり切った泥臭いエピソードを強調します。
大手事業会社(営業、企画、マーケティング等)出身者
業界特有の業務プロセス(経理、人事、総務等)への深い知見や、大規模な組織における合意形成力が強みとなります。
- 伝えるべき強み: バックオフィス現場のペインに対するリアルな肌感覚、関係部門との交渉力、正確な計数管理能力。
- 面接での意識: 前職の社内ルールや意思決定の遅さに依存していない柔軟性を示すとともに、ラクスのスピード感に適応し、自発的にPDCAを高速で回せる自律性を証明します。
面接本番に向けた実践的な事前準備
ラクスの事業企画面接を通過するためには、事業構造への深い理解と、実践的な対話準備を整えておく必要があります。
決算説明資料と中期経営方針の精読
有価証券報告書や決算説明資料を精読し、以下の要素を整理しておきます。
- 主要セグメントの収益性: クラウド事業(楽楽精算、楽楽明細、楽楽勤怠等)とIT人材事業の売上高・営業利益の推移
- 成長ドライバー: 楽楽シリーズのクロスセル戦略、大企業・中堅企業へのターゲット拡張、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正後の需要開拓
- 投資方針と財務規律: 広告宣伝費や人材採用への積極投資を行いながら、高い営業利益率を維持するためのコスト構造の管理方針
「ラクスリーダーシッププリンシプル(RLP)」に沿った自己分析
同社が重視する行動指針に照らし合わせ、自身の過去の経験を整理しておきます。
- 全体最適視点: 自部門の利益にとどまらず、会社全体の成長のために他部門と協働した経験
- 小さく試して大きく育てる: 最初から大規模に仕掛けるのではなく、スモールスタートで検証を回して拡大させた経験
- 結果にこだわる / 費用対効果を考える: 限られたリソースの中でROIを意識し、目標達成に向けて最後までやり抜いた経験
これらを具体的なファクトベースで言語化しておくことで、企業カルチャーへの適合度の面でも高い評価を獲得できます。
経営・事業視点を示す逆質問の用意
面接の終盤に設けられる逆質問では、業務への解像度と意欲をアピールします。
- 「現在推進されている事業戦略において、主力である楽楽精算や楽楽明細の盤石なシェア維持と、他プロダクトへのクロスセル拡大を進めるにあたり、事業企画として最も注力されているテーマは何でしょうか」
- 「マーケティング、営業、開発、カスタマーサクセスといった各部門が高度に分業化されている中で、事業企画として全体最適な意思決定を迅速に下し、施策を仕組み化するために、どのような情報連携や会議体を重視されていますでしょうか」
入社後の具体的な実務推進を想定した質問を投げかけることで、ラクスの合理的な事業モデルと文化を正しく理解した即戦力人材としての評価を確立することができます。



